2010年 07月 10日
監督:舛田利雄 原作:小松左京 脚本:山浦弘靖/舛田利雄 撮影:飯村雅彦 音楽:モーリス・ジャール 特技監督:中野昭慶 出演: 渡瀬恒彦 (北斗電機技術開発部長・朝倉達也) 名取裕子 (キャスター・小出まり子) 山下真司 (KSテレビ局員・田宮洋介) * * * 発想は良かったのに、それを具現化する技術力がなかった・・・残念。 原作は、日本SF大賞を受賞した小松左京の同名小説。技術力はとぼしくても、個人的には小松左京の原作を映画化したほかの作品はかなり好きなのだ。『日本沈没』にせよ>『復活の日』にせよ、『さよならジュミター』でさえけっこう好きである。しかし、この映画だけはいただけない。『天国の大罪』でも思ったが舛田利雄が監督すると作品は壊れる。この人に映画を撮る才能はない。 原作のお話は、東京を中心とする半径約30km圏が正体不明の「雲」に覆われ、「雲」の外部との連絡が途絶してしまうというもの。統治機構が機能不全になった日本がどう対処するのか、それに対する外国はどう対処するのか・・というシュミレーション小説だった。全国知事会を基礎とした暫定統治機構(臨時国政代行組織)が樹立されるが、財政・外交を中心に問題は山積する。一方で「雲」の軍事的利用を巡って、アメリカとソ連(作品の年代設定は1980年代のため、東西冷戦の真っ只中である)の激しいつばぜり合いが演じられる。その後、最終的に「雲」は国際的な研究コンソーシアムにより調査が進められ、地球外生命体によって送り込まれた一種の観測機器である可能性が高いという結論に達し、継続的なモニターを行うこととなったのだが、ある日突然「雲」は消失する。 映画では、前半のイベントの設定自体は原作をフォローしているのだが、そのあとは、首都にいる人々をどうやって救出する・・というパニック&レスキュー映画になっている。もっとも人間の力ではどうすることも出来ないのでレスキュー映画にもなってない。ただ何をやってもダメでした・・という話なので達成感もなにもない。ストーリーの基本構成からして大失敗してる。 物語を見やすくするために、恋愛劇を含めたレスキューミッション的なものになっているが、これは本来、首都を失った日本がどう対処していくのかという、政治的群像劇にすべきもので、その一つの手ごまとしてこの映画の主人公となっている電気関連の会社の技術者や報道関係者を使うべきだったのだろう。『日本沈没』のような方向性で作ってほしかった。 さらにレコード業界とのタイアップなのか、下手な歌を歌う歌手とか登場、一人でらりって歌ってるし・・、散々である。この歌がチョー下手。商売に使うな!!といいたい。 この映画に、映画をきちんと作ろうというスピリットはまったく感じることは出来ない。ただただ営業のためにこんな映画になりました・・という原作をだめにする以外のなにものでもない、商業ベース思考だけの映画になっている。 ちなみに音楽はなんと『アラビアのロレンス』や『ライアンの娘』を手がけたモーリス・ジャールである。 <あらすじ> 突如、深い霧に覆われた東京は外部からの通信が遮断されてしまう。 大阪に来ていたTVリポーターの小出まり子(名取裕子)は、関西放送の報道マンの田宮洋介(山下真司)に見送れて東京行きの新幹線に乗り込んだ。名古屋で北斗電機の技術開発部・長朝倉達也(渡瀬恒彦)も乗り込む。仕事にかまけて家庭を省りみない彼は、妻との間に溝が生じていた。 東京に入る寸前で列車は止まってしまう。列車からおりた朝倉は厚木にある北斗電機の研究所に向かう。まり子も便乗する。そこで『物体○』と名づけられた東京を覆った雲の研究に当ることになった。一方KSテレビの田宮は報道部長に尻をたたかれカメラマンとともにヘリで東京へ向かう。上空からみると、東京は白く丸いドームのような巨大な雲に覆われている。 田宮はまり子と合流して取材に当ることになった。しかし朝倉になんとなく惹かれていくまり子に、つい憎まれ口をきく田宮。 東京上空に調査にとんだ朝倉は、稲妻が機を襲い重傷を負う。うわ言に妻子のことをつぶやくのを聞き、彼のことをあきらめるまり子。雲に電磁気エネルギーを与えればすき間ができるのではという朝倉の提案で、電磁気砲が作られた。負傷した朝倉に代り田宮がまり子と一緒に雲のトンネルの中へはいっていく。
by ssm2438
| 2010-07-10 10:01
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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