|
2009年 08月 22日
監督:ウィリアム・ラスティグ脚本:ラリー・コーエン 撮影:ヴィンセント・J・レイブ 音楽:ジェイ・チャタウェイ 出演: トム・アトキンス (マクレーン刑事) ブルース・キャンベル (ジャック・フォレスト巡査) ローレン・ランドン (婦人警官のテレサ) ロバート・ズダール (ゾンビコップ/マット・コーデル) * * * 『13日の金曜日』を警官でやるとこうなるのだろうなあ・・。 異能脚本家のラリー・コーエンが制作・脚本をやっているだけあって、噛み合わせの悪い内容をマニアックに仕上げてある(苦笑)。 ラリー・コーエンといえば『悪魔の赤ちゃん』がもっとも有名だろう。本来人を襲うという概念からはかけはなれた赤ちゃんが殺人鬼として登場する。この感覚だけで「ありえない!」と普通の人はおもうのだがろう、それを見てみると「なんかあるかも・・」って思えるくらいまでには作りこんでくれる。おまけに最後はそれでも母親をめざす赤ちゃんの切ない業を描いてくれて涙を誘う(苦笑)。 彼の作品のなかで私が大好きなのは、『殺しのベストセラー』。本来相容れないはずの殺し屋と警官がコンビを組む。警官であったが、その傍ら彼の体験談に基づく小説も書いていたブライアン・デネヒーに、組織から厄介払いされた殺し屋ジェームス・ウッズが接触してくる。彼は嘗ての主人に復讐するために、自分の犯罪を小説にしろと言う。「裏が取れないものは書けない」というブライアン・デネヒーに、ジェームス・ウッズは、かつて殺した現場や、その段取り、そのご殺人につかった武器を何処に隠したかなどことこまかく説明している。さらに、「家族構成がわからないと、主人公のおいたちが書けない」というデネヒーに対して、さすがにしぶっていたジェームス・ウッズも同意し、彼の両親にあわせる。これが普通の両親だったりする。 本来安心すべき対象が殺人鬼だったり、その反対に殺人鬼が安心すべき人物になっていたりと、手を返しなお書け、チープな設定をもとにそれほど違和感なくB級の王道的につくってしまう不思議な能力をもったB級作家、それがラリー・コーエン。 今回の『マニアック・コップ』は市民を犯罪から守る警官が<ジェイソン>になっている。ただ、そこにいたる軌跡にペーソスを交えているのがラリー・コーエンなんだな。 本作の主人公マット・コーデルは、尋問の前に発砲というスタイルでニューヨーク市警の腕利き警官だった。しかし、マフィアと政界の癒着の暴露を恐れた市長が彼を罠にはめ、判事を買収し、コーデルを犯罪者として刑務所に送ってしまう。そこで嘗てコーデルが逮捕した囚人の暴行を受け、顔を切り刻まれ殺害される。 監察医の元に運ばれた彼は確かに死んでいたのだが、突然心臓だげが動き出し脳死状態で肉体だけは生き返る。再び刑務所に彼を戻すことをためらった監察医はコーデルの恋人に連絡し、死体引取りとってもらう。その後コーデルは自分を罠に嵌めた市長・警察組織に対し復讐を開始しする・・という設定。 彼はすでに死んだ殺人鬼、ゾンビ・コップなのだ。 ただ、詰めが甘いところもあって(ラリー・コーエンのいつものことだが)、市長や警察、マフィアに復讐する怨念がのこっているが、正義感が強かった嘗ての意識はなく、一般人を平気で殺してしまうのはなんだか見ていて気持ちがいいのではない。まあ、ゾンビ警官なのだが仕方がないし、そのアンコントロールぶりがラリー・コーエンの手加減しないところなのだろうが、だったら、復讐という概念もなしにしてほしいものだ。物語のなかに<復讐>という人間性を入れ込むなら、ほかの方向にもなんらかの人間性を入れ込むべきではなかったのかな・・と矛盾を感じてしまう。 まあ、ラリー・コーエンなので、そのへんはいい加減でしかるべきなのだけど。 <あらすじ> ある晩、強盗に襲われかけた女性が1人の警官に助けを求める。しかし、彼女はその警官に絞め殺されてしう。翌日、強盗達は殺害容疑で捕まったが、彼らは「大男の警官が殺った」と証言する。やがて第二、第三の殺人が立て続けに発生したのだが、犯人は意図的に生存者を出すなどして警察に対し、かなり挑戦的であった。事件を担当したマクレー警部(トム・アトキンズ)は、犯人は警察内部の人間でしかもかなり恨みを持っている人間では無いかと推測する。 次の標的は警官ジャック(ブルース・キャンベル)。ジャックは妻との関係がうまくいっておらず、しかも同僚のテレサ(ローレン・ランドン)と言う婦人警官と浮気していた。犯人はジャックの妻を殺害して、あたかもジャックが妻を殺したかのように仕向ける。拘束されるジャック。無実を訴えるも、動機など状況証拠は揃っており、彼を救えるのは浮気相手のテレサの証言だけ。しかしそのテレサも殺されてしまう。 マクレーンとジャックは、無実の罪をきせられ獄中で殺されたマット・コーデルという警官がいることを知る。犯人は彼を愛していた近親者ではないのか?と考え、捜査は確信に近づいていく・・。 しかし、実は死んでたはずのコーデルが犯人だったという、サスペンスではありえないオチ。ラリー・コーエンは、初めにゾンビコップありきで、それを猟奇殺人仕立てのサスペンスで描くという手法をとっている。良くも悪くも、ありえないもの同士(ネタにしても手法にしても)をくっつけて映画にしてみようというB級スピリットが楽しい人だ。余談だが、ジャックの浮気相手テレサを演じたローレン・ランドン(→)はB級映画のビーナスのような存在。『探偵マイクハマー/オレが掟だ!』では彼の秘書を、『ハンドラ』ではヒロイックファンタジーの戦うヒロインを演じていた。美系なのだが実にトラッシーであり、忘れがたいブロンド美人のひとりだ。
by ssm2438
| 2009-08-22 09:13
|
アバウト
![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||