監督:実相寺昭雄
脚本:渋谷利秀/実相寺昭雄
撮影:島田求
音楽:淡海悟郎
出演:加賀恵子
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実相寺昭雄のかつての面影まるでなし!
「実相寺昭雄がAV女優&男優をつかって映画を撮った」ということで話題になったのだが・・中身はひどい。
私も子供のころは
実相寺昭雄の
『ウルトラマン』や
『ウルトラセブン』、
『怪奇大作戦』や
『シルバー仮面』で育った人間なので、この人の、あの頃の作品はけっして嫌いではないのだが、1971年の
『曼陀羅』以降はまるでダメ。実相寺昭雄がみていて楽しいのは1970年の
『無常』まで。それ以降はどれも奇抜なだけのつくりであり見るに耐えないで出来になってしまっている。この『ラ・ヴァルス』も例外にもれずひどい。
内容は・・
レイプ事件がおきた。被害者は歯科衛生士をしている川村弓子(
加賀恵子)という女性だった。しかし被害者・弓子と容疑者・久保三郎の供述はまったく噛み合わないものだった。容疑者の弁護を引き受けた国選弁護人の安達は、事件の真相を探るため、弓子の身辺調査を始めるのだが・・・というもの。
語り口は
黒澤明の
『羅生門』システムを使っており、登場人物の立場によってその証言映像が展開されるが、その内容がそれぞれの立場で違っているとうもの。
この語り口自体が嫌いな私にとってはこの映画で見るものはまったくない見る気がうせるのだがそれ以上にチープな映像もダサダサ。制作したのがAVメーカーのKUKIというメーカーなのだが、やはり映像構築力不足を感じる。というよりも、このころの実相寺昭雄の映像はあまりにつまらないので、大手の製作会社が作ったとしてもダメだっただろう。役者も加賀恵子では花がなさ過ぎる。当時名前がうれていて
樹まりことか
鮎川真理なども出ているのだが、なんで加賀恵子だったのでしょうね? 普通に売り上げ考えるとこんな配役には絶対ならないだろうし、なにかしらプライベートな事情があったんじゃないだろうかと思ってしまう。