西澤 晋 の 映画日記

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2009年 11月 06日

パラドールにかかる月(1988) ☆

パラドールにかかる月(1988) ☆_f0009381_9232057.jpg監督:ポール・マザースキー
脚本:ポール・マザースキー/レオン・カペタノス
撮影:ドナルド・マカルパイン
音楽:モーリス・ジャール

出演:
リチャード・ドレイファス (ジャック/シムズ大統領)
ソニア・ブラガ (大統領の愛人、マドンナ・メンデス)

       *        *        *

『ハドソン河のモスコー』で個人的には大ヒットをとばしてくれたポール・マザースキー『結婚しない女』『ハリーとトント』など、ウィットに富んだハートフルで、どこかペーソスのある演出は大好きなのです。
『ハドソン河のモスコー』では、いつもサービス精神ありすぎるロビン・ウィリアムズがけっこう抑えた(彼なりの)演技でさほど厚つ苦しさを感じることなる、気持ちよくみられたのです。その再現を期待して、今回のリチャード・ドレイファスも良い感じにしあがってるんじゃないだろうか・・と期待してみたのがこの映画。・・・が、いただけなかった。リチャード・ドレイファスが一人二役をこなしているのだが、この映画ではすべりまくり。

物語のコンセプトはアイヴァン・ライトマン『デーヴ』のような話。
カリブの小国パラドールの独裁者が急死。公になると国家転覆の危機があるため、たまたまロケで訪れていた彼にうりつたつのしょーもない役者が偽物に仕立てられるという話。いきなり国家の頂点にたってしまった彼は、その立場を利用して国家を民衆のものに返還していく・・という話。
お話的にはときめきポイントがおおいタイプの映画ではあるが・・・なんでこの映画はこんなにときめかなかったのでしょう。・・多分リアリティとコメディさのバランスが実によくなかったからなのでしょう。コメディを展開するには、ちょっとそれを取り巻くリアリティがそぐわなかったというべきか・・、やはり独裁者とか、軍事政権とかいうアイテムが入ってくるとどうしても血なまぐささがぬぐいきれない。

大統領の愛人を演じるソニア・デブラは、その前の年にレッドフォードの第二回監督作品『ミラグロ』でヒロインを演じ、ある程度のインパクトがあり、彼女の存在もこの映画も見る気になった理由の一つだった。ラテンの血が入った、アゴがちょっと細くなったシガニー・ウィーヴァーといった感じ。よくみるとバーバラ・バック的な要素もあり、マデリー・ストーン的な要素もある。どこかのパーツがひとつ間違ってればとんでもなく美人系の役者さんだったのだろうが、はやりどこかのバランスが悪いのだろう、印象には残るが、欲望を刺激するにはいたらなかった女優さんであった・・(苦笑)。

<あらすじ>
カリブ海に浮かぶ小国パラドールに、映画の撮影のために来ていた役者ジャック・ノア(リチャード・ドレイファス)は、大統領アルフォンス・シムズ(リチャード・ドレイファス)の前で彼を演じて見せ、その演技を賞賛される。その大統領も、深酒がたたり発作を起こし急死してしまう。政情不安の中、尾の事実が公表されればいつ反乱が起きるわからない。側近のロベルト・ストラウスマン(ラウル・ジュリア)は、ジャックを強引に呼び寄せ彼に大統領を演じさせようとする。
シムズ大統領の愛人、マドンナ・メンデス(ソニア・ブラガ)のことが気になっていたジャックは、ロベルトに言いくるめられこの依頼を受けることになる。

その後はしばらく、素人が最高権力者の座に着いたどたばたが展開される。

演説の準備を始めたジャック。使用人達は彼が替え玉だと気づくが波風立てずに平静を装う。いざ、本番。ジャックは役者魂を発揮し、見事な演説で民衆の心を捉えることに成功する。さらに政府に対して抵抗活動をつづけるゲリラを骨抜きにすることに成功し、彼は国民から絶大な信頼を得て愛される。それから1年、大統領を演じ続けたジャックはカーニバルの会場で銃撃されて命を落とす。・・・・が、それはジャックとマドンナの芝居で、ジャックはマドンナに別れを告げ国外に脱出する。
ニューヨークに戻ったジャックは、パラドールのニュースをテレビで見て、マドンナが大統領になったことを知る。

by ssm2438 | 2009-11-06 09:24


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