西澤 晋 の 映画日記

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2010年 11月 30日

タッカー(1988) ☆☆☆

タッカー(1988) ☆☆☆_f0009381_1856258.jpg監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:アーノルド・シュルマン/デヴィッド・サイドラー
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:ジョー・ジャクソン

出演:
ジェフ・ブリッジス(パターソン・タッカー)
ジョーン・アレン (ヴェラ・タッカー)
クリスチャン・スレーター (ジュニア)

       *        *        *

夢とアイデアはある、あとは金だけだ!

若干ぬるいのだけど嫌いではないんだな、この映画。
主人公のタッカーは実在の人物。アメリカの自動車会社タッカー社の創設者であるプレストン・トマス・タッカーは、安全を重視した画期的な乗用車としてタッカー・トーピードを考案して量産化を目指すも、様々な事情で自動車製造会社を倒産してしまうことになった。(ウィキペディアより)

映画ではアメリカ自動車産業のビッグスリーによる新興メイカー潰しという構図になっているが、実際のところは何処までホントで何処までフィクションなのかは不明。この映画でつくられたタッカー・トーピード(↓)は現在46台が残っているそうだが、かなりの巨大なセダンである。スピードもさることながら、衝突安全性にも力を入れており、なにかと贅沢な作りになっていたらしい。センターライトは、タイヤの向くほうに向く設計になっていて、カーブの時も進行方向を照らす仕組みになっていた。水平対校6気筒エンジンをリアに搭載し、車重量は1.9トンにももなるセダン。カタログでは166馬力を搾り出すとされたが、実際はその半分くらいのパワーだったとか。私がいまだにのっている三菱の3リッター・ディアマンテ君は1.5トンくらいなので、かなりのヘビーウェイトだ。

タッカー(1988) ☆☆☆_f0009381_191572.jpgタッカーを演じるのはジェフ・ブリッジズ。なぜかこの人が演じる映画は意外と好きなのが多いのだが、この映画も悪くはない。しかし、アメリカンドリームをめざすスタンスがかなりアバウトで甘い。なんというか、ロン・ハワードが作る映画のようなノリなのである。あそこまでリスクマネージメントを考えないのはかなりノー天気。さらに、ビッグスリーを露骨に悪者にしているあたりが極端にわかりやすい構成になっているのだが、もうちょっと臭わせるくらいの真実味のある展開でもよかったのでは・・って思ってしまう。
物語の展開は、モデルカーを作ってプロモーションをし、製作資金をあつめたが、その車を量産できる現実性はなく、結果として資金横領ではないかと訴えられてしまう。本気だったことを示すために50台のトーペードを作り、意図的な罪だとはみなされない判決=無罪になったが、現実的に資金回収困難だったため、工場は持っていかれてしまった・・という話。

<あらすじ>
第二次世界大戦も終結間近の1945年春。プレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)は自分の夢である新しい車を作る決心をする。家族のサポートや、友人である元銀行家や技術者の協力を得て安全性に秀でた重厚なセダン、“タッカー・トーペード”を作り上げた。しかしエンジンはつまれてなかったりする(苦笑)。巧みな宣伝やその斬新なスタイルで、たちまち世間の注目を浴びたが、当時アメリカを牛耳っていた巨大な自動車産業のビッグ3や、保守的な政・財界は、密かに暗躍してタッカーとその事業を叩き潰そうとした。
裁判にかけられ工場は閉鎖寸前となったタッカーは、自分の事業プランが正しかったことを証明するために、50台の新車を期日までに完成させなければならなくなる。タッカーとその仲間たちの手作業でその車を量産していく。
そして最終弁論の日、タッカーは陪審員席に向かって、「巨大な力で個人の自由な発想を押し潰すことは、この国の未来をも閉ざすことになるのではないか」と語る。

by ssm2438 | 2010-11-30 22:18


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