西澤 晋 の 映画日記

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2011年 01月 18日

ホワット・ライズ・ビニース(2000) ☆☆

ホワット・ライズ・ビニース(2000) ☆☆_f0009381_22592744.jpg監督:ロバート・ゼメキス
脚本:クラーク・グレッグ
撮影:ドン・バージェス
音楽:アラン・シルヴェストリ

出演:
ミシェル・ファイファー (妻クレア)
ハリソン・フォード (夫ノーマン・スペンサー)

       *        *        *

「横たわる」「横たえる」「嘘をつく」、さらに「上がる」「上げる」・・・

みなさん覚えてますか? 英語の動詞でいやなやつですよね。英語表記を読んで訳すくらいは出来るとおもうのだけど、これを正しい活用形で書けるかと言われると・・・その昔TOEICで910点を取った私でも正しい解答答える自信はまったくありません。

日本語タイトルは『ホワット・ライズ・ビニース』。でもこれだけだと解釈をあやまる。実際私は「WHAT RISE BENEATH」=「水面下で湧き上がってくるもの」だと思っていた。でも、これはでは文法がちがいます(苦笑)。これだと「WHAT RISES BENEATH」でなければいけません。
ただしくは、「WHAT LIES BENEATH」=「水面下に横たわるもの」・・だそうです。

でも、映画のタイトルの場合、複数形や序数などの「s/es/th」は省いてつけるので、私が勘違いしたのも無理ないな・・、うん。


で、物語。これってホラーじゃないですか!????
冒頭の隣の夫婦のやりとりみてると、ああ、これって『裏窓』でいくのだろうな・・って誰だって思うじゃないですか。あれだけみせられるとどうみてもサスペンス/ミステリーの世界観。しかも、もうこの話はハリスン・フォードが犯人だってことは世間で知られているので、いかにしてそこにハリスン・フォードが絡むのかな・・って思ってたら、まるっきり話とは関係ないただのブラフ。おい!
で、中盤からほんとに幽霊がでてくる。
この手ののものは普通、オバケがいるぞ、いるぞと見せかけて実は全部トリックでしたっていう、疑心暗鬼サスペンスにするだろう。ホントにオバケが居ました・・じゃあ、サスペンスにはならない。冒頭で既にサスペンス仕立てでつくりますよ・・って伏線はってたら、それが伏線じゃなくって全部ブラフだったっていうこの構成はどうなんですかね? 少なくとも見ている人はこの話はサスペンスで、幽霊話っぽいけど誰かが仕掛けてるんだって思いながら観てたはず。しかし、実はホントに幽霊でした・・て事だと、なんか拍子抜け。期待をはずすのは別にかまわないのだが、それ以上のものを提示してほしい。
今回の展開では、本人たちはホラーを作るつもりで、そのブラフとしてサスペンス仕立てのストーリーに組んだのかもしれないが、見る側サスペンスだと思ってみて、その結果ホラーだったら「サスペンスのオチを幽霊にするなー」って言いたくなる。思わせぶりの方向性を誤った感が否めない。

監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』ロバート・ゼメキス。てっきり『メイフィールドの怪人』ジョー・ダンテだとおもってました(苦笑)。この辺の監督さんは、スピルバーグ総指揮の作品でやたらと監督をまたかされていたのでなんとなく一緒のイメージがあるのだけど、このスピルバーグの子分連中のなかではゼメキスが一番面白いと思う。
ただ、この作品は・・・、演出的には確かなものがあるのだが、物語自体が・・・なんか、ちょっと期待したものとちがったというか・・・、でもいろいろ気になることが一杯ある映画でした。そういう意味ではなかなか面白かった。

ハリスン・フォードは、彼の思想上の問題で、それまでほとんどが善人系の役しかやらないことにしていると聞いていたのだけど、今回は人殺しの犯人役。当時、この映画が公開されたあとのハリスン・フォードのインタビューを聞いてたのだが、それまでのキャリアでは悪人はやってこなかったので、私が演じる人物が犯人だってことは意外だったんじゃないかなって発言してた。
ただ、今回の役はどうみてもマイケル・ダグラスがやる役だったな(苦笑)。

主人公のミシェル・ファイファーは私の大好きな女優さんなれど・・・・ううううう、老けたぞ。ちょっとあんまりアップで撮ってほしくなかった。もう目じりとか・・けっこう怖い。最後身体を麻痺する薬をかがされてバスタブにいられ、そこでハリスンフォードが蛇口を開く。じわあああああああああああっと上がってくる水面がなかなか恐怖。身体はぴくぴくは震えるのだが身体は言うことをきかない。でも意識はしっかりして上がってくる水面を認識できてしまうのでじわり怖い。このあたりの演出はゼメキスさすがにいいぞ!
ただ、個人的にはもう10歳彼女が若いときに撮ってほしかった。それでバスタブに漬けられてる時には、すけた下着が肌にはりつく色気は表現してほしかったなあ。彼女のヌードなんて最後にみたのは・・・いつだろう『眠れぬ夜のために』あたりか? 『恋のためらい/フランキーとジョニー』では、脱いでいたかもしれないが魅せてはいなかったし・・。

あと、これ、松本清張だったらやっぱり殺された女の子にドラマをつけると思う。この映画も深読みすればつけられるのだけど、個人的にはそこをもうちょっと膨らませてほしかった。子供の頃に母と自分を捨てていった父親。表向きはその復讐。でも、やっぱり愛してほしかった・・みたいな願望を、失踪した父の変わりにハリスン・フォードに抱いていた・・みたいな、「愛するがゆえに男を追い込んでしまった」みたいな、そして、男のほうも「愛しているのに殺してしまった・・」みたいな。
そんな話にできたらこの話はもっと良くなったのに・・・。でも、そうしたら幽霊話の恨み節は無理か・・・。
そう、でも、この話は「幽霊」が要らないんだ! つくづく松本清張路線で作ってほしかったと思う。。。

by ssm2438 | 2011-01-18 22:59


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