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2011年 03月 19日
監督:山田洋次脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純 出演:渥美清(車寅次郎) いしだあゆみ(かがり) 片岡仁左衛門(陶芸家・加納) * * * あじさいのように淡い話だったが・・・。 いしだあゆみ演じるかがりにもう少し、求めている描写がほしかったかな。この物語の展開だとあまり寅さんを好きになるという方向性にはいかないような状況設定。寅さんを好きになるには時間が短すぎるのである。どちらかといと、それまで付き合っていたと思った人が急に別の女と結婚するといいだし、とたんに孤独を感じたというシチュエーションだろう。そのシチュエーションで、孤独だから誰でも良かった。誰でも良かったけど、その中でも寅さんが良かった・・みたいな、そんな哀愁が描ければこの話もっともっとよくなったのに。でも、誰でも良かったのだがら、あとになると寅さんじゃなくてもよくなるはずって思ってたけど・・・・ほうが話がずっしりきてよかったのに。。。 しかし、それでもやっぱりすごい山田洋次演出がここにもある。今回の映画の最大のみどころはいしだあゆみ演じるかがりの実家にとまることになり、母親は産婆の仕事で出て行ってしまい二人っきりになるところ。 ちまたのこの映画の解説を見ると、寅さん枕元にしのびよるいしだあゆみ・・と書かれていることもあるが、そのシーンは、娘のランドセルをとりにいくときに、寅さんの寝ている部屋を通らなければならないというシチュエーション。彼女にはエッチしたい欲求はまるでない。ただし、勘違いされたくない欲求はあっただろう。 結論的にはなんでもないシーンなのだが、お互いが意識すればそれが意味をもったシーンになる。 かがりにしてみれば、 男の人が寝ている部屋に一人ではいっていくなんて・・・、でも、ランドセルとりにいくだけだし、万が一にもそんなことはないだろうけど、間違って寅さんが男になったらどうしよう・・・、でもそれはないわよね。でも、明日のあさ、どう話そう。どう話しても言い訳に聞こえそうだし・・・みたいな。 一方寅次郎にしてみればもっとシンプル、彼女の目的がわからないのだから、もうちょっとときめいたかもしれない。最後のふすまをしめるときにいしだあゆみに足元のカットは絶品である。きっとあのとき寅次郎は “彼女がふすまを開けて入ってきたときに普通に「どうしたんだい?」と声をかけて、もうちょっと飲んでもいいかな・・みたいな展開に持っていくのもありだったかなと思うかもしれない。あそこで寝てる振りしちゃうと、もう手も足も延長戦もないじゃないか”と思ったに違いない。 もうひとつ、この映画で圧倒的にすばらしいのが、いしだあゆみ演じるかがりの実家の設定。ここは丹後半島の伊根漁港で、この風景だけで情緒に浸ってしまう。この港をみていると、なにか・・・、ミケランジェロ・アントニオーニに撮ってほしいと思わせる雰囲気なのだ。まるで日本のベニス、それも新しい日本のベニスではなく、ミケランジェロ・アントニオーニが『さすらい』でみせたようなノスタルジーをがただよう情緒あふれるベニスなのだ。個人的には朝霧のたつ伊根港を見てみたかった。残念ながらこの映画は暖かい時期にとられた映画らしく、そんなシーンはでてこないのだが、ここを冬場のロケ地にしたらどれだけ感動的な画面ができるころだろう。画面の色彩設計はアンドリュー・ワイエスにお願いしたい(笑)。 ![]() ![]() ![]() <あらすじ> 京都の葵祭、出店をだしてたい寅次郎が仕事を切り上げて宿に帰ろうとすると、老人が下駄の鼻緒が切れて困っている。いつもの軽妙なトークをまじえつつ手ぬぐいを裂いて下駄をなおしてやる寅次郎。その夜は上品な茶屋でその老人に付き合って飲まされた寅次郎。目が覚めてみるとそこは加納(片岡仁左衛門)という有名な陶芸家のうちだった。そこで家事手伝いをしている30半ばの女性かがり(いしだあゆみ)に会う。 彼女は夫をなくしたあとここで働いているのだが、加納の一番弟子の蒲原恋仲になっていた。しかし、蒲原は他の女性と結婚するとい話をきかされ二人の関係は破談になってしまう。そんなかがりをみて加納は「いつも他人の顔色ばっかりうかがっていてはいかん。ほんとにほしいものがあるのなら求めないと」と歯がゆそうに語るのだが、かがりは地元の丹後に帰ってしまう。 それからしばらくして、彼女のことが心配だという加納の言葉に、寅次郎は次の行商を丹後方面にもとめることにする。丹後の彼女の実家にいってみると、5歳くらいの娘の産婆をしている母と3人で住んでいた。ここでも寅次郎の存在がかがりの心を癒していく。しかし、そんな会話に夢中になていると帰りの船を逃してしまう。しかたなくその晩は彼女のうちにとめてもらうした寅次郎。さらにその晩は近所の誰かが産気づき母も出てしまう。娘を寝かしつけると、気がつけば二人だけの夜。静かな緊張が支配する夜になる。たぶんかがりは、よりそって話したかったのだろう。しかし、自分の恋にはチキンの寅次郎は早々とひとり床についてしまう。 なにもない夜をすごした寅次郎は東京へ帰るが、それから数ヶ月して《とらや》にかがりが友人と一緒に訪れる。何かを期待するがやっぱりなにもなく帰っていくかに思われたかがりが、そっと寅次郎のひざの上の手に手紙を滑り込ませる。その手紙には明日鎌倉のあじざい寺で待っているという言葉がしたためられたいた。 かがりにしてみれば、スーパー大覚悟で行った行為なのだろう。その場に人には知られずに寅次郎にだけわかるように手紙を忍ばせたのである。たぶんいままで一度もそんなことはしたことがあったとは思えない。にもかかわらずチキン寅次郎は甥の満男をつれてあじさい寺にでかけていく。・・・・大ばか。 ひたすら無駄な時間が過ぎていく。・・・・大ばか。 そしてなにもなく一日が終わる。かがりにとっては気持ちを伝えたいと思い、ありったけの勇気をふりしぼって作った大事な覚悟の時間だったのに・。・・・大ばか。
by SSM2438
| 2011-03-19 18:40
| 男はつらいよ(1969)
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![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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