2011年 03月 05日
監督:山田洋次 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純 出演: 渥美清 (車寅次郎) 吉岡秀隆 (諏訪満男) 後藤久美子 (及川泉) 夏木マリ (泉の母・礼子) 寺尾聰 (泉の父・一男) 宮崎美子 (泉の父の愛人・幸枝) * * * 宮崎美子がやたらと可憐だ。 『男はつらいよ』のタイトルを掲げてやるには違和感というか・・・、どうも私の脳みそはある種の拒否反応を起こしてる感じではあるのだが、それでもついついどうなるのか気になってみてしまうこの42作目からつづく泉ちゃんシリーズ。今回はその2作目。 今回の満男は、泉ちゃんと一緒に父をたずねる旅の物語。泉の父は、母があんなだから嫌気がさすのはしかたがないだろう。他の女の人と一緒に住んでいるという設定。じつはキャスティングなどみないままこの映画をみはじめたのだが、その愛人と一緒にすんでいるという父親は誰なんだ??ってみてたら寺尾聰でした。でその愛人が宮崎美子。このふたりがあまりにも素敵で、ほおおおおおおおっと関心してしまった。 <あらすじ> 浪人生活からぬけだし、晴れて大学生になった満男(吉岡秀隆)。しかしキャンパスは八王子。柴又からだといくだけで2時間かかってしまうというところ。大学の近くに部屋を探していざ引越しという時に泉(後藤久美子)が東京へやって来た。 満男にしてみれば、朝起きたら食事が用意されているような生活から脱却したいのである。世話されすぎるのは嫌な年頃なのである。親離れはできつつある子供なのだが、まだ母親が小離れできない状態。それをうっとおしくさえ思えてしまう満男はついついさくらにも辛らつな言葉をはいてしまい、父親に博には怒られているというシチュエーション。 けっきょくのところ、その後もアパートを借りるという話なくなり、最後まで柴又のうちから大学には通ったということなのだろうか? このあたりはぼやけている。 しかし、この『男はつらいよ』とう物語のうっとおしい部分はその家族のバインディングが強すぎるところなのだろう。正直私としてはかなりうざいと感じてしまう。そんなところがあり長いことこのシリーズには手を出さずにいたのだが、ま、これも勉強だし仕方がないかな・・・と重い腰をあげたわけだ。 泉が東京にきたのは、女の人と一緒に暮らしているという、別居中の父親に会うためだという。その女性と別れてもらい、うちに帰ってきてほしいというためだった。しかしその父親はすでに職場を退職、相手の女性の実家のある大分に帰っているというのだ。 名古屋へ帰る泉を見送りに東京駅のホームまできた満男だが、泉から、父親の居る大分へ向かう事を告げられ、扉が閉まる直前に新幹線に乗り込んでしまった。 ここの<じらし>からの一気の解放はなかなか素敵だ。 どんなに頑張ってもなんにも力になってあげられない満男。新幹線発車のチャイムがなる。ポロロロロロロロロロロ。涙ぐんでる泉。最後の最後で一気に乗ってしまう満男。基本的にはなんのとりえもない凡人代表の満男だが、感情をためてためてためてためて、最後に「えいやーっ!」って行ってしまう爽快感。自分に自信がもてなくて、力もなくて、それでも後先考えずに行かずにはおられない感情。良いですな。 事情をしった寅次郎は泉の母親礼子(夏木マリ)と一緒に彼らを追う。で、追うのは寝台特急。あまり印象のよくないキャラクターの泉の母だが、寅次郎と一緒にいるとなかなか素直になってしまう。カーテンへだてて一緒に眠るというのはやはりそれなりにときめくものである。 父親の愛人に「別れて欲しい」と言うために大分まできた泉。しかし、そこで暮らす一男(寺尾聰)と幸枝(宮崎美子)のやりとりを見ていると、それがいえなくなってしまう。別居中の父親が、他の女性と一緒にくらしているちうのに、そのふたりはとても自然で、「この二人はこうあるべきなのだ」という空気が流れている。ここの一連の演出は、特に突拍子もないことはないのだが、その何もなさがすべてを語っている。すばらしいのひとことである。 父親と別れた後、涙を流す泉の肩を満男は戸惑いながらも抱いてやる。その後礼子と寅次郎が合流、4人で温泉旅館に泊まることになる。礼子は無理して陽気に振舞っているが、おひらきの後、礼子が酔っ払って声を上げて泣き、それを泉が慰めていた。「行かなくていいの」と言う満男の言葉をきいても動かない寅次郎。 翌朝、泉と礼子は先に旅館をでていた。
by SSM2438
| 2011-03-05 08:53
| 男はつらいよ(1969)
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主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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