2011年 12月 10日
監督:成瀬巳喜男 脚本:菊島隆三 撮影:玉井正夫 音楽:黛敏郎 出演: 高峰秀子 (矢代圭子) 森雅之 (銀行支店長・藤崎) 団令子 (女給・純子) 仲代達矢 (マネージャー・小松) 加東大介 (工場主・関根) 中村鴈治郎 (実業主・郷田) 小沢栄太郎 (利権屋・美濃部) 淡路恵子 (マダム・ユリ) * * * 30代の結婚したい女性、見るべからず。 予備知識無しに見てたらぐいぐい引き込まれた・・・・いやいや、すごかった。こんな演出できる人誰だ?って思ったら、成瀬巳喜男でしたか。恐れ入りました。メロドラマの王道いってます。 ほんと、30代の独身女性がみると、切実に心にしみこんできます。男が見てても、「うわ、これ・・しんどそう」って思ってしまいます。アニメ業界にも「結婚したい」と言ってる30代の未婚女性けっこういますが、この映画みせたら自殺しそうです(苦笑)。DVD買ってコピーとって、一人一人にクリスマスのプレゼントにしたいくらいですよ(笑)。 矢代圭子(高峰秀子)は、銀座のバーの雇われママ。5年前に夫に死なれ、その時に、「もう誰も好きにならない。だれもに身体をゆるさない」と手紙を書き、骨壷にいれたという。しかし、女手一つで生きていかなければならなくなった圭子。そんな圭子が喫茶店で働いているところを、今のマネジャーの小松(仲代達矢)にスカウトされてバー“ライラック”で働くようになった。彼女を夢見て通ってくる男も多い。マネージャーの小松もひそかに圭子を想っている。果たして圭子の運命は・・・・。というのが基本設定。 ただ、「バー」というのは厳密にいうと、カウンターのある洋風酒場・居酒屋で、ウェイトレスのお姉ーちゃんはいても接客サービスをする女性がいるわけではない。しかしながらこの店では、お客さんがはいってくると女性が接客するので、「バー」ではないのだろうが、「キャバレー」か「ナイトクラブ」かといわれるとそうでもない。接客する女性がいる「バー」ってことなのかな・・・。 店に出てくる娘は、もう世間ではもてることのない年齢に達したオヤジたちに、お金でモテている時間を提供してあげるている。その中には肉体関係と引き換えに、スポンサーになってもらい、銀座に店を出そうとしている女の子もいる。結局のところ店にくるお客のなかから結婚相手を見つけるか、その中の誰かの愛人になり、店をもたせてもらうかくらいの選択肢しかなくなっているわけだ。 そんな中、圭子の下で働いていたユリ(淡路恵子)は経済研究所長という肩書を持つ高級利権屋の美濃部(小沢栄太郎)のバックアップで店をもつことになる。客を何人かもっていかれた圭子は、マスターから暗に「ユリのように体を張れ」と言われる。圭子にもそのような話がないわけではない。関西実業家の郷田(中村鴈治郎)が、店を持たせるからと迫られたこともあった。しかし、コールドショルダーかましてると、圭子の下で働いている純子(団令子)が、郷田に身をゆだね、店を持たせてもらう展開になる。 数人のご贔屓の客に少し筒お金をだしてもらい、自分も店を持とうかと考える圭子だが、なかなか資金はあつまらない。そんな時、プレス工場主の関根(加東大介)の誠意だけが身にしみた。酒も飲めないのに店に顔をだしてくれる。胃潰瘍をわずらった時に見舞いにきてくれる。「店をもうとかと思う」と話した時も、「いくらかなら僕も出すけど、ママは結婚したほうがいいんじゃないかな」と言ってくれる。そして彼からのプロポーズ。圭子は関根の優しさにつつまれたくなり、関根に抱かれた。再婚の決意をしたのである。 しかし、独身だと思っていた彼には家庭があり、彼の妻から電話があり行方がわからなくなったという。行ってみるとそこはバラックの粗末な長屋で、彼女を送ってくれた車は隣人殻の借り物だった。甲斐性もないのに見栄をはり、何人もの女に言い寄り、言葉ばれそうになると姿を消すというのである。 圭子は酒におぼれた。以前からお気に入りのお客だった銀行支店長の藤崎(森雅之)と一夜を過してしまった。が、藤崎は翌日大阪の支店へ転勤になると言いながら、十万円の株券を置いて去った。 マネージャーの小松が入れちがいに入って来て、圭子の頬を打った。「圭子の亡き夫への想いを汲んで、自分は自分の想いを封印しているのに、お前はそんなにさくさく男と寝るのか!」と悔しさを爆発させる。小松も圭子の店を去っていった・・・。 切実です・・・・。 自分を求めてくれろ男はいるが、好きにはなれない。でも保健としては居て欲しい。しかし、彼らに夢を与えなければ男達は、他の女に奪われていく。不安感に負けて身体を許せばその男は裏切って行く。とりあえず一番好きな男に抱かれ、愛人でもいいかなと思い始めると、その男は転勤で居なくなる。ずっと自分だけを求めてくれた男も、自分には与えられないことに絶望し去っていく・・・。 好きな男、愛した男が去っていく寂しさではないのです。この映画のすごいところは、普段は求めないのだけど、可能性を奪われていく怖さ。自分の周りにいる保健男がどんどん居なくなっていく。自分をあたえる気もないのだけど、しかし、そんな彼らが自分の周りからなくなっていく恐怖感。どんどん増大していく人生への不安感。 そして気がつけば30歳を越えている。。。 女性の怖さのツボをついてます。 なかなか恐ろしい映画でした。。。
by ssm2438
| 2011-12-10 12:57
|
アバウト
主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||