|
2011年 12月 23日
監督:井上昭原作・松本清張 脚本:国弘威雄 音楽:小六禮次郎 撮影:原秀夫 美術:川崎軍二 出演: 星野花江:風吹ジュン 八田英吉:泉谷しげる * * * 松本清張サスペンス 傑作選[大映テレビ・TBS編] をごそっと買ったなかにはいっていた一本。制作には、大映テレビとともに霧プロダクション(1984年に松本清張が野村芳太郎らとともに設立した会社で、松本清張も代表取締役に就任している)が絡んでいるので、作品の質もきわめてしっかりしている。 松本清張作品というのは、物語があまりにしっかりしすぎていて、技量のない作り手が、曲や広告代理店のプロデューサーの言いなりになってしまうと、マトモな作品にならない。 私は増村保造のファンで、原作も読んだことがあり、その事件の舞台となった善福寺公園もしっているので、どうしても『黒い福音』がみたくて、これを購入すたのだけど、一番当たりだったのがこの『馬を売る女』だった。 この作品は松本清張のなかの短編を、大映スタッフがモディファイドした作品なれど、近年巷にあふれる松本清張原作のテレビドラマや映画よりははるかに出来が良い。 本作の監督の井上昭は大映時代に溝口健二、森一生、吉村公三郎らについて仕事を覚えた。この映画でも、きわめて妥当なレイアウトが、今となっては貴重である。今の日本映画の何も考えてない糞レイアウトを見ていると、このころのあたりまえだった画面が崇高にみえてしまう。 撮影監督は原秀夫。東映の特撮ものなどの撮影監督だったのだが、テレビの普通のドラマの撮影監督をするようになっている。彼が富田靖子主演の『アイコ十六歳』を撮ってくれたのは幸せなことだ。 <あらすじ> 星野花江(風吹ジュン)は、恋愛神経がほとんど機能してない30半ばの独身女性。とある会社の社長秘書をしているのだが、無駄口をきくことはなく、与えられた仕事を無機質に黙々とこなしていくだけの女だった。しかし、彼女にはひそかな営みがあった。 競馬の予想である。堅物で賭け事などはまったくしないように見えるの彼女だが、彼女の競馬予想は当たった。どこからかその噂をききつけた男達が、彼女から情報を買うようになっていた。彼女のノートには、彼女から情報を買うことを契約した男達のリストがずらりと並んでいて、彼らから月ぎめで入金されていたのだ。質素に思割れた彼女は、実は大金持ちではないにしろ、かなりの貯蓄をもっていた。 しかし、あるときから、その予想があたらなくなる・・・。 星野花江が秘書をつとめる社長・米村重一郎は馬主だった。会社の電話で馬主仲間と競走馬の情報を交換することもあった。あの馬は病み上がりだから勝てないとか、あの馬は足に故障をかかえているから勝てないとか・・。花江はそんな電話をこっそり盗み聞きし、その情報をリストの男達に売っていたのだ。しかし、そのことに気づいた米村は、彼の会社の孫請け会社の八田英吉(泉谷しげる)に調査を依頼する。八田の提案で、米村はニセの競走馬情報を流すよう手配した。 競馬予想が不振に陥った星野花江は、気落ちしているように見えた。自分が破滅させた女に少なからず興味をおぼえた八田英吉は江戸川区まで花江を尾行し、いつしか2人は気軽な話すようになっていた。八田は、はっとしない男だったが、花江にとっては初めて自分を求めてくれる「男」だった。生まれてこのかた男に求められたことのなかった花江にとってそれは、初めてのトキメキだった。 自分の工場の資金繰りが厳しい八田は、彼女の貯めた金を大量に借り始めた。それすらも花江にとっては喜びだった。しかし、八田への貸金が累積し、生活設計が狂ったことに気づき、花江は自分がバランスをくずしていることに気づく。返済を先延ばしする八田に対して、花江の請求は徐々に厳しくなっていたった・・・。 風吹ジュンは可愛すぎるうううううううううううううううう!! 1952年生まれの彼女は、このドラマが公開された時には30歳だったが(撮影されたときはもしかしたら最後の20代だったかもしれない)、あまりにも可愛すぎる。こんな女がいたら、それはどれだけ部長面をいつもしてるからといって、男に相手されないわけはない。そういう意味ではやや理解しがたい主役設定だったが、しかし、可愛い人のほうがみていて楽しいのでそれはよしとしよう。 そんな風吹ジュンが、今まで男と恋愛したことがない女を演じている。そして一気にはじめての恋愛が怒涛のようにおしよせてくる。いままで感情らしいものすらなかった彼女が、八田といるだけで、幸せに感じ始める。「もう一人じゃないんだ」という安心感に一気に溺れていく。そんなはじめての体験群が彼女の平常心に異変を生じさせてしまった。 ただ、これ以前にTBSに東芝日曜劇場(1時間枠)で放送されていて、その時は倍賞千恵子が演じていた。おそらくこちらのほうが、原作には近いイメージだっただろう。 最終的には彼女が八田に殺されて終わるのだが、彼女が八田に貸していたお金には、担保などの起債もなにもなく、借用書としては意味のないことがわかる。彼女は、八田に貸したお金は、戻ってこないかもしれないということは理解しており、それでもいいと思って貸していたのである。 そのことを知った八田は最後、彼女の部屋でなきつずれるのだった・・・。 ちなみにこのボックスに入っていた以下ラインナップは以下の通り。 『黒い福音』 神父の疑惑 スチュワーデス殺し 現実に起きた未解決のスチュワーデス殺人事件に松本清張が推理と解決を提示した問題作を映像化! 原作:松本清張/脚本:新藤兼人/監督:増村保造/出演:宇津井 健、三浦友和、片平なぎさ、五月みどり、杉浦直樹 [本編]122min.(1984年11月26日TBS系にて放映) 『内海の輪』 大学助教授の不倫の決算 蓬莱峡に消えた死体 教授昇進を控えた新進気鋭の考古学助教授邪魔になった愛人を断崖から突き落として殺害するが… 原作:松本清張/脚本:中島丈博/監督:井上 昭/出演:滝田 栄、岡 まゆみ、井川比佐志、宇津宮雅代 [本編]94min.+[映像特典]ハイライト(1982年4月17日TBS系「ザ・サスペンス」にて放映) 『馬を売る女』 お願い!もう一度だけ好きだといって・・・・ 馬主の社長のもとに集る情報を商売にしていた秘書家族も友人もいない女は愛人に金を貢ぎ続けるが… 原作:松本清張/脚本:国弘威雄/監督:井上 昭/出演:風吹ジュン、松本留美、仲谷 昇、高橋昌也、泉谷しげる [本編]94min.+[映像特典]ハイライト(1982年10月23日TBS系「ザ・サスペンス」にて放映) 『共犯者』 男二人をお手玉したカワユイ女ともだち 銀行を襲撃して奪った金で商売を始め成功した男疑心暗鬼からかつての共犯者の監視を開始するが… 原作:松本清張/脚本:中島丈博/監督:井上芳夫/出演:平 幹二朗、春川ますみ、畑中葉子、あき竹城、片桐夕子、尾藤イサオ [本編]94min.+[映像特典]ハイライト(1983年3月5日TBS系「ザ・サスペンス」系にて放映)
by ssm2438
| 2011-12-23 13:24
| 松本清張(1909)
|
アバウト
![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
ファン
検索
以前の記事
2016年 05月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 タグ
☆☆☆(365)
☆☆☆☆(199) 一見の価値あり!(84) ☆☆☆☆☆(84) 貴重なヌードあり!(82) シナリオ勝負映画(82) 撮影的に高品質な映画(81) この女優必見!(80) 楽しいぞ!この映画(80) ダメだこりゃ映画(79) 女優が色っぽい映画(78) 女優が愛らしい映画(76) 自然描写が美しい映画(53) 一見の価値もなし!(53) ダイナミック望遠映画(37) ディープメンタル映画(22) 言葉が素敵な映画(22) リアリズムの映画(20) ぼろ泣き映画(16) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(13) カテゴリ
ジョン・フォード(1894) フランク・キャプラ(1897) A・ヒッチコック(1899) V・デ・シーカ(1901) ウィリアム・ワイラー(1902) ビリー・ワイルダー(1906) フレッド・ジンネマン(1907) 松本清張(1909) 黒澤 明(1910) M・アントニオーニ(1912) ルネ・クレマン(1913) I ・ベルイマン(1918) F・フェリーニ(1920) G・チュフライ(1921) W・A・フレイカー(1923) シドニー・ルメット(1924) 増村保造(1924) H・ウェクスラー(1926) S・キューブリック(1928) J・フランケンハイマー(1930) N・アルメンドロス(1930) ロベール・アンリコ(1931) ゴードン・ウィリス(1931) マイク・ニコルズ(1931) F・トリュフォー(1932) A・タルコフスキー(1932) D・マカヴェイエフ(1932) テオ・アンゲロプロス(1935) ウディ・アレン(1935) R・レッドフォード(1936) リドリー・スコット(1937) 木村大作(1939) ジョン・バダム(1939) W・フリードキン(1939) J・L・ブルックス(1940) エイドリアン・ライン(1941) ノーラ・エフロン(1941) K・キェシロフスキー(1941) ペニー・マーシャル(1943) ピーター・ウィアー(1944) C・デシャネル(1944) ラッセ・ハルストレム(1946) S・スタローン(1946) アイバン・ライトマン(1946) S・スピルバーグ(1946) パトリス・ルコント(1947) E・ズウィック(1952) ゴジラ(1954) G・トルナトーレ(1956) ブラッド・バード(1957) 男はつらいよ(1969) ライフログ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||