西澤 晋 の 映画日記

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2012年 02月 03日

カニング・キラー/殺戮の沼(2007) ☆☆

カニング・キラー/殺戮の沼(2007) ☆☆_f0009381_11204960.jpg原題:PRIMEVAL

監督:マイケル・ケイトルマン
脚本:ジョン・ブランカトー/マイケル・フェリス
撮影:エドワード・J・ペイ
音楽:ジョン・フリッゼル

出演:
ドミニク・パーセル (ティム・マンフリー)
ブルック・ラングトン (アビバ・マスターズ)
オーランド・ジョーンズ (スティーブン・ジョンソン)

       *        *        *

「PRIMEVAL」とは「原始(時代)の、太古の」の意。

最初見たときは、「すげえ~~~ぞ、ワニ映画の中では一番よくできてる!」と思った。
・・と思わせてくれるほど、他のワニ映画はしょぼい。ま、ほとんどがTVMなので、予算ないし、しょぼいCGとカットつなぎで作品としてはぼろぼろ、だいたいワニの大きさすら統一されてないありさまの、あまりにも低次元の画面が氾濫しまくっているのがこのワニ映画。
そのなかにあって、この『カニングキラー・殺戮の沼』は、映画としてしっかり予算もらえてるみたいだし、CGも普通の映画なみにつくられている。ま、それだけでも感動。もっとも、他のしょぼいワニ映画をあまりにもみせられたせいで、まともに作られているだけで「もしかしたらこれは名作かもしれない!」と勘違いされされる。
が、冷静にみてみると、まあ、普通の映画である。というか、これを普通の映画として判断しておかないと、名作がいっぱい出来てきてしまう(苦笑)。

では、なぜ、他の映画のCGがしょぼいのか、どこかきちんと描かれているから、これがまともに見えるか、整理しておこう。

1、サイズが統一されていない。
その昔『トランス・フォーマーズ』という合作アニメを30年前にやったことがあるのだが、あっちの人の描く絵コンテはサイズがいい加減なのである。でっかいキャラも、小さいキャラもほとんどきにせず同じ画面にいれこんでくる。おそらくこの映画でも、絵コンテの中に書かれているサイズがばらばらで、それにあわせてCGをはめこんでいるので、サイズの統一ができなくなってしまっているのだ。普通は監督さんが、その辺の帳尻はきちんとあわせるようにNGだすのだけど、TVMの場合はそういったチェック体制もとれないのだろう。

2、接地面処理がいいかげん。
現実にあるフィルムにCGをはめこむのだが、この接地面の処理をきちんとできるかできないかで、まともな映画か否かはきまってくるといっていい。たとえば草むらだと、足の根元には草がある。これが安物CGだと、ただ、CGワニをフィルムに合成しただけで、適当に影をつけてごまかすくらいなのだけど、まともな映画となると、やはり足元の処理は重要だ。それが重たいものなら沼地の土にめり込む分もおおきくなるだろう。さらに水面のしょりも大変だ。水面下の部分をいかに水を透したようにみえるのか、そして水面との接点をどのように処理するのか・・・、このあたいがテーマになってくるだろう。

3、イベントが起きた後の処理をきちんと描く。
ワニに人間がおそわれたとすると、そのあとには波紋や、血のにじみや、残留物がのこるはずだ。これがしょぼいTVMだと全部排除されて、あたかも、その前のシーンではなにもなかったような水面がみえたりする。人がワニにかまれて腕とかちぎれてるのに、水面に血のにごりすらない・・・。「つなぎ」を意識しない糞演出がおおいのである。

4、湿り気。
ワニはそれまで水の中にいたのだがら、姿をみせるときは体はぬれているはずである。しかし、しょぼいCGではその湿り気がまるでないまま、CGをそのまま使うのである。

・・・そんなあたりまえのことが、この映画ではしっかりできている。本来そんなのは出来て当たり前なのだけど、出来てないのがあまりにおおかったので、これだけ普通にできてるとなんだかとってもよく出来た映画を見た気にさせられた。
さらにもう一言付け加えるなら、ワニのサイズが適度に小さいのでよい。最近は無節操にただ、でかいだけってワニは多かったので、これを観ると少し安心する(苦笑)。このくらいのサイズがいいです。


構成的には、動物パニック物では、人間対巨大生物の戦いの中に、利害関係のあるもうひとつの団体が絡んでくるというのがセオリーである。たとえば『ジョーズ』では、サメ対人間の基本構図のなかに、地域社会の利益が絡んでくる。この映画では、ワニ捕獲というドキュメンタリー制作を試みているテレビスタッフ対ワニというのが基本だが、その状況をかきまわす役割として、アフリカ奥地の内戦が描かれている。このどんぱちはけっこう迫力ある描写なので、しらけることな観られた。最終的には、内戦を繰り返して非道な殺戮をしてる連中を、ワニに襲わせて物語りは終結する。
しかし、ワニは野放しなので、続編はいくらでもできそうである(苦笑)。

絵作りは、今風のかなりチャラチャラした撮り方に傾倒しているが、殺戮部族の描き方はかなりしっかりしているので全体としては重厚さのある物語になっている。チャラい撮影さえなければかなり高評価を与が与えられてもいい映画だと思う。


<あらすじ>
内戦の激しいアフリカの奥地で白人女性が巨大なワニの被害にあったのをきっかけに、NYのTV取材班が現地をおとずれる。そのワニは「グスタヴ」と呼ばれ現地の人に恐れられていた。しかし、それだけではなく、内戦もひどい。そこでは人間による虐殺で死ぬ人のほうがワニの被害にあって死ぬ人よりもはるかに多い。
ワニを生け捕るためにでっかい鉄格子の折までもってきたTVクルー達だが、不運にもそこで行われた虐殺シーンをカメラで撮ってい、その画像データをめぐって現地のわるいやつらにも命を狙われてしまう。
最初のうちはワニ捕獲が目的だったが、もってきた折はワニに沈められ、あとは逃げるしかない。そんな時に地元の殺戮部族からの狙われ逃げまくる。沼におとさればそこにはワニの恐怖、地上にはAK47。そして次々に犠牲になるスタッフ・・・。果たして彼らの運命はいかに・・・。

by ssm2438 | 2012-02-03 11:22


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