西澤 晋 の 映画日記

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2012年 03月 08日

イエロー・ハンカチーフ(2008) ☆☆

イエロー・ハンカチーフ(2008) ☆☆_f0009381_11275738.jpg原題:YELLOW HANDKERCHIEF

監督:ウダヤン・プラサッド
原案:ピート・ハミル
脚本:エリン・ディグナム
撮影:クリス・メンゲス
音楽:イーフ・バーズレイ/ジャック・リヴジー

出演:
ウィリアム・ハート (ブレット)
マリア・ベロ (メイ)
エディ・レッドメイン (ゴーディ)
クリステン・スチュワート (マーティーン)
桃井かおり (モーテルの女主人)

     ×   ×   ×

言わすと知れた『幸福の黄色いハンカチ』のアメリカ版である。といっても原作は、アメリカ人ジャーナリストのピート・ハミルが1971年に書き、ニューヨーク・ポスト紙に掲載されたコラム『Going Home』である。なのでほとんど逆輸入みたいなものです。
内容的には『幸福の黄色いハンカチ』のストーリーラインそのまま。しかし、私の嫌いな俳優、武田鉄矢&桃井かおりが居ないだけでかなり見やすい映画になってます。武田鉄矢の空騒ぎな芝居もないのでかなりおちつく。
高倉健が演じた島勇作にあたるのが、ウィリアム・ハート演じるブレッド・ハンソン。ウィリアム・ハートのイメージは長身で繊細なキャラクターというイメージだったのだけど、さすがに年もとり、ジーン・ハックマンのような風貌になってます。どうもこういうキャラクターはジェフ・ブリッジズかブルース・ウィリスあたりが似合ってるのではないかとおもってたのですが、ウィリアム・ハートで充分まっちしておりました。
連れとなる男と女は、山田洋次の映画のふたりよりもかなり若く10代になってました。男の子のほうは、やや血の指数が低いのか、いつもおどおどしてて自身なげな青年。女の子は、親元から逃げ出したい女の子という設定。
ウィリアム・ハートの妻のメイはマリア・ベロ『コヨーテ・アグリー』『ペイバック』のころはとっても素敵だったのですが、さすがにちょっとふけて込んできてます。かなり残念。

撮影は『キリングフィールド』『ケス』クリス・メンゲル。基本的には地味な色でとる人だという印象があっただけど、今回は色彩加工かなりしてるのかな・・、かなり空気の濁りをそぎおとしたコントラストの強い色をときおりはさんできてました。おそらく監督さんの好みなのでしょう。残念ながら私のこのみではありませんでした(苦笑)。
それでも、南部独特の風景はなかなか情緒的に撮られ、そこにあるひとつひとつのアイテムが実に印象的。参考ビデオとしてはかなりの需要がみこまれます。

全体的にはまとまりのある作品で、少なくとも『幸福の黄色いハンカチ』よりは好きです。
・・・が、この手の作品としては、普通の出来でかな・・というレベル。

<あらすじ>
ルイジアナ州の刑務所を出てきたブレッド(ウィリアム・ハート)は、立ち寄ったレストランで6年ぶりのビールを飲む。ニューオリンズに向かう彼は、そのレストランに居た移動労働者のゴーディ(エディ・レッドメイン)と若い娘マーティン(クリステン・スチュワート)の車に同乗させてもらうことになる。マーティンは、恋人と喧嘩をしその男をいらだたせるために、言い寄ってきたコーディの車に乗せてもらったのだが、二人っきりだと不安だと言うのだ。
やがて、ブレッドの素性がわかってくる。若い頃は悪いこともしていたブレッドだが、メイ(マリア・ベロ)と出会い結婚してからはまっとうな生き方ができるようになっていた。彼女妊娠したときは、自分にも家族がもてるのだとブレッドは喜んだ。しかし、彼女が流産。メイは過去の男関係のなかで、堕胎手術をうけ流産しやすい体質になっていたのだ。自暴自棄になりひとりでバーで酒をあおっているとメイが追って来る。「なにが私のことは全部わかってるよ」となじられメイにつかみかかる。そこに一人の男が仲裁にはいってきたのだが、ブレッドが怒りにかませてその男を突き飛ばすと、消火栓に頭をぶつけて死んでしまう。

『幸福の黄色いハンカチ』と『イエローハンカチーフ』の違いは、『イエローハンカチーフ』のほうが、登場人物を普通にしてあるところだろう。ブレッドと旅する男の子と女の子もこの映画のなかでは普通のティーンエイジャーで、普通の悩みをもっている。武田鉄矢のようにコメディにふった味付けもされてない。ブレッドが殺してしまう男も普通の良い人で、『幸福の・・・』のように因縁つけてきたチンピラでもない。この「普通さ」がこの映画のよいところなのだ。

ただ、最後のシーンは『幸福の・・・』のほうがよかったな。一番おいしそうなところをあえてポーンとロングでモノローグ、その場で顔をおさえる倍賞千恵子、しっかと抱き合ったりしないで、我が家にはいっていこうする健さん・・、まだ、そのまんま泣いてる倍賞千恵子のところにもどって肩に手をのせ家に中に入っていく。
ううううううむむむ、あれがいいんだ。
やっぱり私も根っこは日本人ですな・・・。
ま、あれは日本人だからああなったのだろう。

by ssm2438 | 2012-03-08 11:28


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