西澤 晋 の 映画日記

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2012年 03月 10日

紐(1996) ☆☆

紐(1996) ☆☆_f0009381_21513281.jpg演出:大岡進
原作:松本清張
脚本:金子成人
音楽:奥慶一

出演:
名取裕子 (梅田静代)
内藤剛志 (梅田安太郎)
風間杜夫 (袴田恭三)

     ×   ×   ×

愛ある絞殺、愛による拘束。

以前に一度みたことのあるこの話、かなり気になってどうしても見たかったのだがいつも貸し出し中でなかなかレンタルできなかったのですが、やっとこさ見ることが出来ました。映像さえ良ければ☆3つにしたいのだけど、いかんせん絵づくりは弱いのでそれほどまではあげられない感じ。しかし、男女の業がかなり全面に出て、松本清張のなかでもけっこう好きな話の一つです。
願わくは「土曜ワイド劇場」で放映された酒井和歌子主演のものか、浅丘ルリ子主演の「金曜女のドラマスペシャル」で放映されたものが見たかった。おそらくわ足しが以前みたことのあると記憶しているのは土曜ワイド劇場のやつの再放送だと思う。

<あらすじ>
小田急線を望む多摩川の河川敷で、岡山県津山市の神主・梅田安太郎(内藤剛志)の他殺体がみつかる。安太郎は、神社の神主ではあったが、事業に失敗し多額な借金のあった。さらに安太郎には2億モノ保険金がかけられていた。警察は暴力団関係者の線で捜査を開始するが、保健会社の調査員・袴田恭三(風間杜夫)は、みうちのモノの犯行ではないかと疑う。鑑識の人に言わせると、絞殺のために首に巻かれた紐に愛があるという。

私が以前みたのはこのDVDのドラマではない。紐の巻き方の描写がもっとこだわっていた。本作では鑑識の台詞だけで済まされていたのだが、そのドラマでは、安太郎の妻・静子(名取裕子)が安太郎の首にヒモを巻いたあと、紐と肌の間にはさまった髪の毛を一度出してから締める描写があった。あそこをみたかったのになあ・・・残念ながらこのバージョンにはなかった。
しかし、このドラマの素晴らしいところは<どんでん返し>だろう。それもエピソードのあっとびっくりどんでん返しではなくメンタルな部分でのどんでん返し。

近親者から散々借金をして事業につぎ込んだがそれが回収できなくなり多額の借金だけがのこった梅田安太郎。もう最後は自分の命を犠牲にして保険金にたよるしかない。しかし自殺では保険金は下りない。他殺にみせなければならない。なので、安太郎は自分で自分の殺人計画をたて、それを妻の静子に実行させる。
静子は自分が愛されていると思っていた。実際彼女にとってはそうだったのだろう。見栄っ張りで、小心者だが、自分を独占しようとする安太郎の中に愛を感じていた。
しかし、一つの愛のトリックがそこにあった。保健に加入してから数年の年月がたっていた安太郎は、自殺でも保険金はおりたのである。しかも、安太郎はそのことを保健のおばちゃんに確かめて知っていた。にもかかわらず、安太郎は「自殺では保険金はおりないから……」と静子に自分を殺させた。
結果嘱託殺人になり、保険金は下りず、静子は逮捕されることとなった。

この物語の素敵なところは、この独占欲。たとえ死んでもこの女を独占しておきたい男の業。
これが素敵なのである。実に松本清張なドラマであった。

by ssm2438 | 2012-03-10 21:52 | 松本清張(1909)


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