西澤 晋 の 映画日記

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2012年 06月 19日

妹の唇(2005) ☆☆☆

妹の唇(2005) ☆☆☆_f0009381_11131692.jpg原題:GEMINIS

監督:アルベルティーナ・カリ
脚本:サンティアゴ・ヒラルト
    アルベルティーナ・カリ
撮影:ギレルモ・ニエト

出演:
マリア・アバディ (メメ)
ルカス・エスカリス (ヘレミアス)

     ×   ×   ×

いやあああ、大人の演出だなあ~~~。

この映画、「エロ」のジャンルに置かれることのほうが多いかもしれないが、普通のメロドラマです。近親相姦の話なので裸のシーンもでてきますが、エロさでみせることを目的でとっている映画ではないので、裸も出てくる一般のメロドラマとして理解していいかと思う。

個人的にはアルゼンチンの映画というのは、地味だけどしっかり描くので良い印象がある。表面的にアンコンベンショナルな様式だけをもとめたくだらない映画よりははるかに見ごたえがある。この映画も、不可解な心理描写を言葉にせず、演出で魅せているので映画作りとしてはとても気持ちが良い。でも、鏡とか硝子のゆがみとかをやたらと使いすぎる感はあった。もうちょっとポイントだけにしぼればいいのに、かなり乱用してるって印象を受けた。

しかし、それよりなにより、物語がちっと・・・・。
想い(目的)と障害があれば、物語は成立するものだが、この二つが対立構成になっていないので、物語としてしまらない。2人は世間で言う禁断の関係にありますよ。でも、ばれちゃいました。はい終了・・・みたいな流れなので、状況だけを見せられた感じ。
それでも求め合って、でも引き裂かれるメロドラマ・・とかさ、なんか主人公達が求める目的がほしかったかな。

でも、2人の描写はけっこういいんだ。
主人公は二卵性双生児の男女の双子で、恋人のようにコミュニケーションをとっている。メメ(女性)が朝シャワーを浴びてると、男のほうが入ってきて、曇った鏡に「おはよ」って描いて出て行く。カーテンの向こうでシャワーをあびてたメメがでてきて、その言葉を見つけるとちょっと嬉しい・・みたいな。いやらしくない恋人描写が素敵なのだ。と同時に性的関係ももっている。両親がいないときは、2人でジャグジーにはいってたり、ハウスパーティのさなか、居場所のなさを感じたふたりはバスルームにはいり、フェラチオをしてもらってたり・・・、実はこの描写はすっごく良かった!!!!!!
母親が二階にあがってきてバスルームに入ろうとしてドアをあけると、息子がズボンを下ろしてるであろう状態で棚によりかかっている。ドアの隙間からその様子は少ししかみえないのだけど、「あれ、もしかして」っと思わせる。「失礼」といってドアをしめ、しばらくして今一度バスルームに入ると、ズボンをたくしあげることを完了した息子と、なぜか娘がいる。
「あなたたち、ここで何してるの?」でその場は終了するのだけど、このほのめかしのシーンはすてきだった。

ただ・・・、ここで誤解を招いたのも事実である。
この描写だと、2人が性交渉があるのを親は容認してるように見える。なかなかおおらかな家庭なんだと、ま、フランス資本の映画っぽいし、それもあるかな・・・くらいの気持ちでみていた。ところが、最後で2人がベッドで“H”してるところみてしまった母親がかなり大げさに取り乱すのである。あそこでは母親はまだ2人の関係を気づいていなかったということらしいのだが・・・、このあいまいな表現のおかげで、物語全体の解釈を大いに誤った。。。

あと「双子」という設定も活かしきれなかったものか・・・。その必要性をほとんど感じなかった。もうちょっとなにかしらのアレンジがあってもよかったのに・・・・。そうしないのなら双子って設定を外してもよかったんじゃないかと・・・。もしかしたら、このくらいがリアルなのかもしれないが・・・。

<あらすじ>
メメ(マリア・アバディ)とヘレミアスと二卵性の双子の兄妹。しかし2人の間には性交渉があった。
そんな中、長男のエセキエルが婚約者を連れて実家に帰ってくる。ある夜、二人の秘密の関係を知ってしまったエセキエルは、メメがベットから去った後レミアスを殴りつける。

じつはここからの展開がまた、ややこしいのである。
どうも長男のエセキエルも、それなりに妹のことは好きらしく、少なからず妄想の対象だったのだろう。あくまで総てが状況証拠だけで語られるので何が起こったかは想像するしかないのだが、母親が馬から落ちて捻挫した夜、メメはエセキエルに犯されているようだ・・・(あっちこっちレビューをみてみたが、おそらくほとんどの人はこの事象を把握してない様子)。

そんなことがあった翌日、エセキエルと婚約者は去り、母はギブスをつけて出かけていく。
2人っきりになったヘレミアスはメメをジャグジーに誘う。最初は拒んでいる様子。おそらく長男に犯されたことを感づいて欲しくなかったのだろう・・・。しかし、ベットへ・・・。
で“H”をしてる最中に母親が帰ってきて現場を見られてしまう・・・。


微妙な心理描写で、事の次第を語ろうとしている映画なので、私も総てを把握してるかどうかは疑問だが、大人の王道演出をしている。直接表現に慣らされている最近の若い人たちには、“H”のシーンしか頭に残らないかもしれないが、かなり高尚な演出術がつかわている映画だ。ただ、題材がキワモノ的なので間違った捕らえ方がされやすいだろう。

いろんな意味でフランス資本のアルゼンチン映画らしい映画である。

by ssm2438 | 2012-06-19 11:15


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