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2012年 06月 29日
監督:野村芳太郎脚本:新藤兼人 撮影:川又昂 音楽:菅野光亮 出演: 高橋英樹 (原田刑事) 秋吉久美子 (原田の妹・典子) 池波志乃 (民江) 下絛アトム (吉浦) 伊佐山ひろ子 (吉浦の妻・とし子) 松橋登 (中川) ひし美ゆり子 (中川の妻) × × × 「男も女を愛しませんよ!」 英会話学校の会話の時間に、「女は男を愛さない、女が愛するのは子供だけだ」発言をすると、よってたかって女性人から一応に批難を浴びるのだが、サンライズのガンダム事業部に勤める某才女は反論することなく、「男も女を愛しませんよ!」と応えた。 そう、男が愛するのは、目の前に存在している女ではなく、自分の心のなかにある偶像の女なのだ。 この物語の主要な人物は西新宿警察署の原田刑事(高橋英樹)とその妹典子(秋吉久美子)。原田の母は男と駆け落ちし、父は酒を飲んで事故死したために、当時小学生だった典子をつれて孤児同然で青森から上京して来たのが12年まえ。それから苦労して働きながら典子を食わせ、なんとか刑事になって今の生活をしてるふたり。そんな典子も19歳になりました・・・という物語の背景設定。 なのはlこの2人の関係は、恋人のようでもあり、親子のようでもあり、兄の原田にしてみれば、かなり感情をインベストしている。2人は、明大前のアパートに6畳の2DKの部屋を借りて一緒に住んでいて、雰囲気はほとんど同棲している恋人同士のようでもある。2人は恋人のように手を組みながら出勤し、新宿に着くと兄は西新宿署に、妹は洋裁学校に向かうのだった。 兄のにしてみれば、妹はずっと理想の妹だったはずだ。しかし、妹のほうはあぶなっかしいながらも兄のしらないところで、すでに女になっている。しかし、兄は「理想の妹像」をおしつける。それに反発する妹。ま、さすがにイングマル・ベルイマンものの強権的支配ではないものの、兄の歯がゆさは切実につたわってくる。 男は、自分の理想の女性像を現実の女に投影し、その女が自分の理想だと思えている間だけ愛せるのである。そして、その理想像が壊れ現実を知る時、男は絶えられない痛みに襲われる。この痛みが誤解を招いていく。 この話をみて面白いと思う人はそれほどいないだろうが、男の心の痛みのツボは見事にヒットしている。 監督は『砂の器』の野村芳太郎。脚本は『清作の妻』の新藤兼人。 新藤兼人は物語のどろどろ系を書きたい人なのだが、その人たちが所属する社会の描写はじつは苦手なほうだ。「この社会に所属するならもう少し理性を効かすだろう」というところが、物語優先でいってしまうのでちょっと公私混同しすぎじゃないの??という感じがする。反対に野村さんはそのあたり、しっかり描きたいほうの人なので、かなり社会的枠組みを描いていく。野村さんが監督でなかったら、かなり大雑把なものになっていたかもしれない。 あと、この時代の新宿がしっかり描かれているのが懐かしい。実に『昭和』である。 といっても、私はまだこの映画が撮影されてたころは中学生で、それがどんなものかを体感したことはないのだが、ケンとメリーのスカイラインが出てきた気にはちょっと嬉しくなる。『流星人間ゾーン』のマイティー・ライナーはこのスカイラインであった。さらに『ウルトラセブン』をみて子供時代をすごした私にとってはひし美ゆり子が出てるとそれだけで嬉しい(笑)。 あと池波志乃がでてると、いかにも昭和の女性がいるようでいいなあ。パーツをパーツをとってみるとそれほど美人ではないのだが、それが一つになって画面のなかで動くといかにも昭和の女のにおいが魅力的なのである。『丑三つの村』でも、主人公を女の世界に引きずり込む妖艶な女を演じていたが、かなり不思議な魅力の持ち主である。本作では、主人公の高橋英樹がおちこんでるとき、肌の触れ合いを交せる相手になっている。 <あらすじ> 西新宿警察署の刑事・原田(高橋英樹)は、娘のように育ててきた妹・典子(秋吉久美子)が、洋裁学校を辞めてスナックで働きだし、歌舞伎町のチンピラ・吉浦(下条アトム)とつき合っている事を知る。「もう会わない」という典子だが、その言葉はまるで信用できない。吉浦のアパートを訪ね、「妹に手を出すな」と釘をさす原田。 しかし妹のことは気が気ではない原田は典子のあとを着ける。ホテルにはいっていく典子をみて、部屋までおしかける原田。しかしそこには吉浦ではなく、1年前に別れたという中川(松橋登)がいた。 枯れは、ある大会社の社長の息子で、典子が最初に経験した男だった。当時原田は、中川の素行調査をし、彼に何人もの別の女がいることを突き止め、二人を別れさせたはずだった。 そんなある日、吉浦が殺された。死体を発見し通報したのは妻のとし子で、その死体のかたわらに典子が中川からもらったネックレスが落ちていた。ベテラン刑事たちと現場にかけつけた原田は愕然とする。 捜査線上には、吉浦がつきあっていてという「典子」という女が容疑者として浮かび上がってくる。真実を知りたい原田は中川の新居におしかける。そこで知る真実。 典子は、中川と付き合っていた頃、妊娠し堕胎していたこと。それも誘ったのは典子のほうだったという。さらに、中川は、吉浦と典子に過去の事情をネタに恐喝されており、口止め料として20万円を渡していたということ。自分の妹が、理解を越えた人格になっていることに気づく原田・・・。 部屋に返ると、有り金を財布に詰め込み旅にでようとしている典子がいる。原田は遂に妹の手に手錠をかけて連行し牢に放り込む。その時、署に電話が入る。原田が受話器をとるとその声は、吉浦殺しの犯人を知っているといい、その女の住所まで教えてきた。それはまさに原田のアパートだった。 その電話の声にぴんときた、原田は、先輩刑事の井島とともに、吉浦とし子を訪ねる。吉浦を殺したのはとし子だった。数日後、刑事を辞職した原田は、典子とともに新天地を求めて大阪へ旅立った。 自分がもっていた妹の偶像が、どんどん現実に破壊されていき、妹こそが犯人ではないのか・・と思いこむようになっていくプロセスにはなかなか説得力がある。と同時に、秋吉久美子が犯人ではないけれども、なぜそのような行動をとるようになったかという部分もかなり説得力がある。おそらく、新藤兼人の脚本からではこの理由付けは不可能だったんじゃないだろうか。かなり強引な展開を、野村芳太郎の見せ方が、納得できるものにしたのだろうな・・と思った。 最後もなかなかよかった。 真犯人が判り、ふたりとぼとぼアパートに帰る高橋英樹と秋吉久美子。このあとこの2人はどうなるのだろう・・興味をもたせつつ、そのあと高橋英樹は池波志乃の肌をむさぼり、関西に移ることを提示する。そしてシーンがかわり、辞表が先輩刑事の井島によって出される。しかしそこに連行されてきた男たちがばたばたして登場、それどころではないとポイと机の上にほっておかれる原田の辞表。 そして西にむかう新幹線の中。 寄り添うように原田のとなりに座っているのは・・・秋吉久美子だった・・・。 おおおおおお。 最後の相手を池波志乃にするのもあったと思う。秋吉久美子はどこかの喫茶店でバイトしてるとかにして・・・。ただ、秋吉久美子と一緒にいることにしたってことは、このふたりを兄妹とい概念ではなく、男と女ということで捉えたってことなのでしょう。 最後の味付けもなかなか味わいあるものだった。
by ssm2438
| 2012-06-29 11:28
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![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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