西澤 晋 の 映画日記

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2012年 11月 11日

白夜(1971) ☆☆

白夜(1971) ☆☆_f0009381_21131967.jpg原題:QUATRE NUITS D'UN REVEUR

監督:ロベール・ブレッソン
原作:ドストエフスキー『白夜』
脚本:ロベール・ブレッソン
撮影:ピエール・ロム
音楽:ミシェル・マーニュ
    グループ・バトゥーキ
    クリストファー・ヘイワード
    ルイ・ギター
    F・R・ダビド

出演:
ギョーム・デ・フォレ (ジャック)
イザベル・ヴェンガルテン (マルト)
ジャン=モーリス・モノワイエ (マルトの恋人)

     ×   ×   ×

かなり眠いかも・・・。

原作はドストエフスキー『白夜』。ドストエフスキーといえばメンタルどろどろの部分をぐりぐり描いてくれるロシアの大作家だが、この話はかなり青臭い。中学生のモードで書いているような雰囲気である。まさに中学生の恋愛した気分になる・・という話である。でも、こういうのを読むと、天下のドストエフスキーといえども中学生のような時代もあったのだなって安心してしまう。

監督は『スリ』『抵抗』『ラルジャン』ロベール・ブレッソン。フランスの監督のなかにあって見たれる監督さんのうちなのだが、この人の演出はかなりストイックでとにかく無駄を省く。必要のないかっと割りはしない。フレーム外でおきてることをフレーム内のリアクションでみせたり、音で演出したりと、演出の勉強する人にとっては実は愉しい監督さんでもある。
絵作り的なことで言えば、不要な要素をかなりそぎ落としてくれるので画面がきもちがいい。あたかも、私の好きなジャック・ベットリアーノ(Jack Vettriano)とかエドワード・ホッパー(Edward Hopper)の絵を彷彿させるような整理の仕方である。

中学生の恋愛というのは、恋愛してるつもりで自分で盛り上がっていた実はなんにもなっていないというパターンがおおい。しかしこれこそ恋愛の王道、「the 恋愛」なのだ(もっとも、女性にはこの「想い」というものは理解できないであろうが・・・)。そういう意味では面白くなかろうが、実に男の、それも青二才の、自分に自信のない時代の、でも、想わずにはいられない時代の、恋愛を見事に、シンプルにまとめた物語だといえる。
これは原作もそうであり、この映画もそのシンプルさをそのままに映画にしているということでは賞賛に値する。

・・・・が、面白くない。

<あらすじ>
元美術学校の学生ジャック(G・D・フォレ)は、ある夜ポン・ヌフの橋からセーヌ河に身投げしようとしている少女マルト(I・ヴェンガルテン)を思いとどまらせた。その夜はそれで別れたが、再び同じ橋の上で合間見えた。二人はお互いの身の上を語り合う。
マルトは母と2人暮しで部屋を学生に間借りさせていた。1年前、マルトはその部屋を借りている青年(J・M・モノワイエ)と寝た。しかし彼がアメリカへ留学に行くことになり、1年後にポン・ヌフの橋の上でマルトとの再会を約束し別れた。それから1年がたち、その彼はパリに戻ってきていた。ポン・ヌフ橋にきてもいるのはジャックで、その彼は来ることはなかった。
ジャックはマルトの手紙をあずかって彼に届ける役割をえる。ジャックにとっては幸せこの上ないことだ。

好きな人の不幸は私の幸せ・・・の法則である。

それでも彼からの返事はなかった。ジャックは、マルトの役にやっていることで、そして彼女に誠実に行動することで幸せを感じていた。あたかも、自分こそが、マルトにふさわしい男であると想い始めていた。幸せ大絶頂である。
しかしある夜、ジャックとマルトが夜のパリを歩いていると、その男が通り過ぎる・・・。

マルトは・・・。


・・・・そういう話である。
所詮男の恋愛は妄想である。女の恋愛は習慣である。
そして男は勘違いして生きる生き物である。

シンプルな話であるがまさに男と女の恋愛の真理である。
・・・ただ、普通に映画としてはつまらないだけだ。
でも素晴らしい。

by ssm2438 | 2012-11-11 21:15


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