西澤 晋 の 映画日記

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2013年 01月 07日

女殺油地獄(1992) ☆☆

女殺油地獄(1992) ☆☆_f0009381_21343732.jpg監督:五社英雄
原作:近松門左衛門
脚本:井手雅人
撮影:森田富士郎
音楽:佐藤勝

出演:
樋口可南子 (豊島屋・お吉)
堤真一 (河内屋・与兵衛)

     ×   ×   ×

やっぱり燃えない五社英雄。

この人も実はホモ??? 
・・・というのは無責任発言かもしれないが、作り手というのはなんだかんだいっても2種類に分かれるようになっていると思う。その物語がどうであれ、作り手は【生産性】を愛している人と、愛していない人に分かれる。この映画の監督・五社英雄のなかには生産性をいつも感じないんだ。絵作りはしっかりしてると思う。演出もしっかりしてると思う。でも面白くない。
ホモ監督って【生産性】を愛することが出来ないんだよね、不思議と。五社英雄がそうかどうかはわからないけど、すくなくとも私はこの人の映画には【生産性】を感じない。なのでこの人の映画は技術的な勉強映画以上のものにはならない。

原作は江戸時代の浄瑠璃作家、近松門左衛門。もっとも、この人の作品に生産性があるかといわれれば、はっきりいってないし、この人こそがホモではないかと私はうたぐっているのだけど・・・。過去に何作がみたのだがやっぱり生産性はない。でも、この人の作品がいいのは登場人物が潔いんだ。少なくとも、私がみたほかの作品はそうだった。
でも・・・、残念ながらこの映画にはその潔さもあまりなくって、どちらかというと【不条理モノ】のジャンルにはいるかと思う。
・・・・しかし、よくよく考えると近松門左衛門の話というのはすべて不条理モノなのかもしれない。不条理の結果、最後心中に至るか、今回のように殺人に至るか・・・、どちらかのようだ。心中にいたる場合は潔いのである。たとえ不条理の結果そうなってもそこに潔さがあるのだ。しかし、今回の場合は・・・・うむむむむ、不条理さに嫌気がさしてブスっといってしまうのであった。

絵作りの勉強と演出の勉強にはなるが、それ以上はあまり求めるものがなかった作品であった・・・。でも、映画としては悪くはない。タイトルがかなり仰々しいが、江戸時代の理不尽恋愛殺人事件である。

<あらすじ>
大阪本天満町の油屋、豊島屋の女房・お吉(樋口可南子)が惨殺された。物語は殺人現場からスタートし、そこにいたる展開を語り始める。
河内屋は、豊島屋がのれん分けした油屋で、お吉はそこの与兵衛(堤真一)の乳母がわりもしていた。その与兵衛も既に一人前の大人である。そんなある日、お吉は与兵衛が油屋の元締、小倉屋の一人娘・小菊( 藤谷美和子)と密会を重ねていることを知る。2人の関係が表ざたになり、豊島屋( 岸部一徳)から摂関をうける与兵衛。小菊との関係は続き、ついには軟禁されていた小菊を連れ出しす与兵衛だった。しかし失敗。数日後、小菊の結婚が決まり、与兵衛はやっと油しぼりの仕事をはじめるようになったが、小菊は仕事場から与兵衛を誘い出し、まだ密会を重ねていた。それを知ったお吉は小菊に会っていましめたが小菊は聞き入れず、その高慢な態度にお吉の女の意地と嫉妬心が燃え上がっていた。小菊に与兵衛をもてあそばれるぐらいなら自分のものにしてしまえと、お吉はついに自ら身体を投げ出し与兵衛と激しく燃え上がる。与兵衛も燃えた。
しかし・・・、与兵衛は、お吉の相手は自分だけではなかったことを知ってしまう。堺を出て江戸に移る決意をする与兵衛。そして最後の夜、与兵衛は言付かり物をとどけに豊島屋を訪れた。それを届けて、あとは江戸に旅立つはずだった・・・。

男って「好き」ってまごころを踏みにじられると逆上する生き物かもしれませんね。
女は好きではなく、便利、都合が良い、で「好き」と語る生き物。

実に女のメカニズムがよく判った男が描いたお話でした。
普通の男はわかりません。

by ssm2438 | 2013-01-07 21:36


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