西澤 晋 の 映画日記

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2013年 04月 27日

赤頭巾ちゃん気をつけて(1970) ☆☆☆

赤頭巾ちゃん気をつけて(1970) ☆☆☆_f0009381_20511261.jpg監督:森谷司郎
脚本:森谷司郎/井手俊郎
撮影:中井朝一
音楽:いずみたく

出演:
岡田裕介 (庄司薫)
森和代 (下条由美)

    ×     ×     ×

原作は庄司薫の小説で1969年の第61回芥川賞受している。主人公と著者が同じ名前である。自分の体験談がかなりベースになっているのだろうと推測する。

物語は、学生運動が血気盛んなころ、ついに東大の安田講堂が学生たちに占拠され機動隊まででた騒ぎのあったとし、東大受験を控えた主人公の悶々とした日々をインテリトークで語った話である。主人公の庄司薫は、兄弟が当たり前のように東大にはいる家庭に育ち、薫も当たり前のように頭が良く、あたりまえの東大に入るものばかりと思っていた。しかし学生たちの安田講堂占拠事件が勃発。その年の同大受験が消滅しそうな雰囲気になる。主人公薫にとっては、東大に入学するのは当たりまえの路線だったのが、急にその路線があやふやなものにみえはじめてきた。
生まれたときからお利口さんの遺伝を受け継ぎ、兄弟はみんな勉強が出来て当たり前のように東大に入っている。こんな環境化では「東大にはいる」というのは当たり前のことなのだろう。ある種の洗脳状態人ある。でもその主人公も普通のナイーブさももちあわせている。学生運動に傾倒して暴れるわけでもない。ただ頭の中で世間で起こっていることと、頭の中の理屈をなんとかシンクロさせたい。そんな欲求からくる青春の無軌道な時間を描いた話だと解釈できるかもしれない。

映画自体は・・・それほど面白いかといわれると、ふう~~~~んな映画ではあるのだけど、何かしらあの時代のにおいを保存して未来に残してるという意味においては希少価値がある作品だと痛感する。おそらく、あの時代に青春を生きた人たちにはかわいくて仕方がない映画なのかもしれない。方向性はちょっと違うのだが『いちご白書』と、この『赤頭巾ちゃん気をつけて』は、あの時代に青春していた人々には宝物になりかねない貴重な映画だと思う。

主人公を演じた岡田裕介は、今では東映の代表取締役になられてしまったが、当時は悪の強くない、ひ弱さのある、インテリ系の登場人物の役どころじゃかなりもっていってたような気がする。
ヒロインの森和代は、この映画のあとちょこっと別の作品にもでてるようだがすぐに結婚引退してしまった。妙に味のある人だったのでもったいない話である。

主人公は最後、赤頭巾ちゃんにあう。とにかく純粋無垢な少女なのである。都会の町の中で名も知らない主人公に話しかけ、本をさがすのを手伝って欲しいといわれる。主人公はその付き合いでおそらく銀座かどこかの人々の雑踏のなかを二人でロードムービーすることになる。

最後の主人公のモノローグで作者の願望が語られる。
たとえ狼さんが大きな口をあけてまっていたとしても、そんな狼さんに笑顔で優しく語りかけられる精神としての「赤頭巾ちゃん」が住める世界であってほしいな・・ってことを語っている。これは作者の希望とかではなく、これから社会にでていく主人公=作家の、自分のナイーブさが守られる社会であってほしいなという、切なる祈りだったのだろうな。
そのナイーブさが守られないからといってヒステリックに騒ぎ立てるわけでもないが、でも願望としてちょっと言ってみたかったぞ!ってことなのだろう。

いろいろナイーブで面白いです!

by ssm2438 | 2013-04-27 20:50


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