西澤 晋 の 映画日記

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2013年 10月 09日

化石の荒野(1982) ☆

化石の荒野(1982) ☆_f0009381_3463839.jpg監督:長谷部安春
原作:西村寿行「化石の荒野」
脚本:丸山昇一
撮影:森勝
音楽:萩田光雄

出演:
渡瀬恒彦 (仁科草介)
夏八木勲 (中臣克明)
川津祐介 (峰島悟)
浅野温子 (雪江千沙)

     ×   ×   ×

クソだったなあ・・・。
とにかくストーリー構成ぼろぼろ、脚本ぼろぼろ、なにもかもがぼろぼろ・・・。まあ、監督が『あぶない刑事』長谷部安春なのでだいたいぼろぼろになるのはわかっていたのだが、とにかくかっこつけてもすべるすべる。ヤマなし、オチなし、意味なしのヤオイ映画ですな・・・。ひどい。
あ、音楽も酷い。

原作の西村寿行は80年代を代表する作家で、エログロバイオレンスの小説家。そのエネルギーには感服させられるものがけっこうあるのですが、映画でそれをやるわけにもいかず、結局アウトラインだけどを映画にし、映像化できない部分をとりのぞき、のこりを才能のない脚本家と製作と監督とでダメにするという、西村寿行ものではよくあるパターンで、見事にそれにはまってます。この脚本でどうすれば映画化しようという気になったのか不思議です。

まず主人公はへぼい。一応ハードボイルド路線をねらっているなら主人公の凄さをどこかみせといて、そんな主人公が巨悪とたたかってますってところを積み重ねれば普通は最低限度一般受けするものにはなるのですが、はなっから主人公がへぼい。
自室にかえってみるとどうやら何者かが侵入した気配あり。で進入した賊と下手なアクションをしてとりあえずタフガイなところをみせてるつもりなのかもしれないけど、多勢に無勢、あっけなく取り押さえられて麻酔をうたれ、おきてみたら拳銃をにぎらされ、そこに男の死体がある。どうやら犯人にしたてあげられたらしい。その後逃亡。警察は主人公を追う・・・という展開。
そのあとも、なにかにつけてやられっぱなしの主人公。なのになんだかカッコつけてるあほなやつ・・・。

いろいろクソなところがおおいのですが、意味のないアクションが多すぎ。
殴り合いのシーンでも、有効打って所詮最初の2~3発くらいです。これは銃撃戦でもおんなじですけど。そこで終わらないでのでアクションにきびきび感がまるでない。プロらしさって一撃必殺でだらだらしないこと。それをひたすら無駄にだらだらとっくみあってる。こんな演出する人がいたんだってびっくりします。
一事が万事でアクションシーンは無駄なアクションがおおすぎ。なんでわざわざそんなにやられにでていかにゃあならんの??って思うくらいアホばっかり。最後の雪山でのどんぱちもほんとに意味まったくないのになんでまとになりそうなアクションするんでしょうね。ひどすぎです。

寿行ものといえばエロも一つのうりですが、今回はまるでなし。おい!
まあ、寿行もののエロはけっこういっちゃってる精神世界なのでなかなか映像化難しいとは思いますが、せっかくの浅野温子も無駄使い。だいたい何しにでてきたんでしょうね?? 物語的に意味がないのならせめてサービスヌードのひとつくらいとか思ってしまいます。

<あらすじ>
終戦間近のある日、厚木基地を飛びたったまま消息を絶った爆撃機連山には5000キロの金塊がつまれていた。それは政府が和解工作をするための資金だったが、その前に終戦を迎えてしまった。連山の搭乗員たちはオホーツクに不時着した際、主人公・仁科の生家で一夜を過ごしたこと、そして金塊の処分法をそこで話したというが、その後行方不明になったという。
その金塊をもとめて悪党どもがうごめいていた。それは当時事情をしる軍関係者で平井剛一と中臣晴義、そして坂本英夫。平井は日本ウラニウム鉱社社長になり爆撃機が金塊を投下させたと思われる山々を捜索していた。一方中臣は政治家になり次期総理候補にまでのぼりつめていた。坂本は警視庁の公安部長になっており情報操作していた。この3人は爆撃機の乗組員が一夜を過ごした民家をのちに訪れた。
その9ヵ月後、主人公は生まれていた。
主人公の仁科草介(渡瀬恒彦)は、連山の搭乗員がオホーツクで一夜を過ごした民家の女の息子だった。
そして、もしかしたら金塊のありかを知っている最後の生き残りの可能性がある草介にこの3人の魔の手が伸びる。しかし・・・殺すわけでもなく、けっこうゆるゆるな接し方が続き「こいつらいったいなにがやりたいんだ??」って物語の本筋がわからなくなるという困ったちゃん。

ここで本筋とはべつに「自分の父親は誰なのか?」という疑問点が物語のもうひとつの焦点となってくる。
連山の乗組員なのか、それとも当時の軍関係者の3人のうちの誰かなのか・・・。・・・が、このアホ脚本はそれがはっきり特定されないままおわらせてる。一応次期総理の中臣晴義ふうに聞こえる展開にはしているが、連山の搭乗員の最後の生き残り、吉宗大佐という読みスジものこしており、最後のどんでん返しはそこかなって思ったら・・・、あらららら??? なにもなし?? それで終わり?? 

・・・おい!
いい加減にしろ。たっぷり無駄な時間をすごさせていただいたではないか!
おそらく原作を読んだらこの映画とは全然ちがう、それなりに面白いものになってるとおもうのだけど・・・。

by ssm2438 | 2013-10-09 03:47


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