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2009年 01月 31日
監督:原恵一演出:水島努 原作:臼井儀人 脚本:原恵一 音楽:荒川敏行 浜口史郎 声の出演:矢島晶子 ならはしみき 藤原啓治 × × × 一昨年、『千と千尋の神隠し』がインフレぎみに観客動員数をかせいでいたその裏でこんな傑作が世に産み落とされていたとは・・。本来この企画、洋画を基本に紹介していこうとおもっていたのですが、このアニメ映画、この正月にみた映画のなかで一番衝撃が強かったので、もう仕方がない、御紹介させていただきます。 しんちゃんの住む春日部に突如出現した20世紀博、そこには大人達を懐かしさのとりこりする数々のアイテムが紹介されていた。まるで子供のようにはしゃぐ大人たち。しかしそれは過去を懐かしみ、21世紀を放棄し20世紀の恒久化をめざす秘密結社<イエスタデイ・ワンスモア>陰謀であった。 両親が、食事がわりに長ねぎをナマのまま「それ食べてな」と投げてそそくさと寝室に・・。敷き布団もひかず、掛け布団だけを書けて寝てしまう。朝おきれば、食事の用意なんかしやしない。かってあったお菓子をたべあさり、ペットボトルをラッパ飲み、仕事にもいかない。ちゃぶ台を踏み越え、また床にごろ寝、 “コドモ”化した大人たち、怖いです。 そんな大人達を3輪トラックが迎えにくる。街を捨て、家族を捨て20世紀博へと向かう。 “義務の放棄”・・・ある意味、大人の夢である。 子供だけがのこされた春日部の街。妹(?)をのこされたしんのすけ達は食料確保のためにコンビニみ向かうがそこは小学生(?)のお兄ちゃん達が支配されてたりする。 そんな子供達だけのサバイバルの状況のなかで20世紀の匂いに現代を捨て過去の虜になった大人達はさらに子供狩りをはじめる。なんとか逃れたしんのすけたちを追いまわすのはスバル360軍団。<イエスタデイ・ワンスモア>の首領はジョンとヨーコを彷佛させるケンとチャコ、ケンの愛車はトヨタ2000GT。劇中、逃亡の為にでたらめに運転するしんのすけ達のバスに、この2000GTのバンパーが飛ばされ踏みつぶされるシーンがあるが、“現代の無謀な力に踏みにじられる、大人達が大事にしたもの” を象徴するようなシーン、心が痛い・・・。 そして大人たちを取り戻す為に20世紀博乗り込むんのすけたち、そこには60年を彷佛させる懐かしい匂いのする街がある。 夕焼けに赤く染まる板塀と木の電柱、威勢のいい八百屋さんが声を張り上げる商店街には買い物かごを下げたお母さんたち・・・。 BGMにながれるフォークソングが妙に哀愁をさそう・・・。 懐かしい匂い、これは無性に愛おしいものではあるが、 これに溺れる事なく現実の21世紀で生きて行くことを選択することで物語は締めくくられている。 おもわず『エヴァンゲリオン』のオープニングのあの歌詞を思い出してしまう。 “‥‥ほとばしる熱いパトスで、思い出を裏切るなら、この宇宙を抱いて輝く少年よ神話になれ!” 物語の構成上、作り手にとって思い出を裏切る方向でお話を作るのはかなり辛いことなのである。それをやってしまったことがこの作品の偉大なところなんだろうと思う。すごい。 でも、人生の中にはすでに決定してしまった、変ることのない、愛さずにはいられない思い出を捨てても、これからの自分の人生をかけるにはあまりに不安だらけの未来を選択しなければいけない時もある。 大人達にそれを残酷なまでに見せつけた、かなり心が痛い‥‥そんな映画だったような気がする。 この映画はその60年代に青春時代をすごした大人たちのためのものだろう。 対象年令40~50才という恐るべき<子供も楽しめる大人のアニメ>、 それこそがこの『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』なのである。 正直なところ演出的にはもうちょっとテンポのいい展開であれば思うシーン、このシーンなくてもよかったんじゃないの?って思うシーンも幾つかああって、完成度的にはそりゃあ御大宮崎 駿には到底およばないんですが、それでもそんなことを度外させてみせてしまう荒削りの良さがあるんです。 そして次の作品『クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 』(この映画もすごいです。嘗てこれだけ戦国時代の合戦シーンを忠実に描いた邦画があったであろうか・・。NHKの大河ドラマでもここまでのリアリティを追求してないと思う)では、もっと完成されたものになっているのも事実。 原恵一監督の今後に大いに期待してしまう1本でした。
by ssm2438
| 2009-01-31 23:34
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![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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