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2008年 11月 01日
監督:シドニー・ポラック脚本:アーサー・ローレンツ 撮影:ハリー・ストラドリング・Jr 音楽:マーヴィン・ハムリッシュ 出演: バーブラ・ストライサンド (ケイティ) ロバート・レッドフォード (八ッベル) ブラッドフォード・ディルマン (J.J.) ロイス・チャイルズ (キャロル・アン) * * * 公開から35年以上おいてきぼり映画だったのですがやっと観ました。音楽と歌だけはやたらと有名なこの映画だったのだけど・・・こんな映画だったんですね。これ、バーバラ・ストライサンド演じるケイティはかなり嫌われるとおもうけど、気持ちはけっこう分るなあ。私もどっちかというとこの系行なきにしもあらずなので・・。 この女性は、強い劣等感、強い自己防衛本能から来る攻撃性、現実逃避のためのモラル的社会活動。この劣等感からくる余裕のなさが、実は周りを不愉快にしていく。でも、本人のモラルの中では正当化されている・・というかそうするしかない。彼女本人は社会の不幸な人の為に戦っているのだと、その社会活動を肯定するだろうけど、実際は、そうしてることで、自分がそうなった時の為にきっと誰かがたすけてくれると信じる言い訳を先に構築しているだけ・・。いわゆる積極的に社会参加しているふりしている現実逃避。<弱さ>からくる攻撃性だけに、悪臭を放つんだよね・・。でも、本人はそうするしかないくらい精神的に切羽詰まってる。まったく余裕がない状態。 そんなケイティが憧れたのがロバート・レッドフォード演じるハッベル。レッドフォードだったらケイティでなくても憧れるだろうけど、この憧れ方がじつに男性っぽい。まあ、物語を書いているのが男性なので、男性的な憧れ方になってしまうのは仕方がないのだけど・・。でも、この女性を好意的にみられる女性っているのだろうか。 これは、女性であることに強烈な劣等感をもってて、男性化を望んでる女性しかこのキャラクターにはかがやいてみえないんじゃないだろうか・・。 しかし、はじめてロバート・レッドフォードとベットを共にできる夜、彼はべろんべろんによってて相手が誰なのかも分らない状態。それでも憧れた彼が自分の隣に寝ている、そして、自分の身体にキスしている・・って憧れの達成感・・、これは絶対男性でないと思い描けないシーンだなあ。そこにいたるまでの日々の妄想が男の場合は恋愛の総てであり、その妄想でつくりあげた偶像との最初のセックスなんてのは感動そのものでしかない。たぶんこの感動は女性には想像できないものだろう。 <あらすじ> 1930年代後半、劣等感まるだしのケイティー(バーブラ・ストライサンド)は弱者の僻み根性をエネルギーにかえて政治議論になると恐ろしいまでに夢中になる。そんなケイティを周りの人間は疎んじていた。しかし、彼女にも憧れの人はいた。大学の創作クラスの一人ハッベル(ロバート・レッドフォード)である。彼は、人としての余裕がありケイティとはまったく別の穏やかな青年だった。 第2次世界大戦がはじまり、従軍したハッベルは海軍大尉になっていた。偶然パーティで再会したケイティーとハベル、しかしハッベルは泥酔しておりそれがケイティであるかどうかも分らない。多分どこかの慰安婦とまちがっているのだろう。彼女の部屋に泊めてもらうが、ゲロを吐いた後は服も脱ぎ捨てすぐにベットに沈んでしまう。何年かぶりに憧れの人の逢えたケイティの心は躍っていたが、自分が同じクラスにいたケイティだということも伝えられない。それでも憧れのハッベルがベットに寝ている。服を脱ぎ裸になって一緒にベットにはいる。あれだけ憧れた人は今となりに裸で寝ている・・それだけでも胸がつまりそうになるケイティ。気持ちよさそうにねているハッベルの髪をなでてみる。寝返りをうって自分のほうにすり寄ってくる。それが女の肌だとわかると本能的にキスするその男。 彼にとっては自分が誰でもいい、性欲のはけ口としての女であるのは判っているが、それでも彼が自分を求めて、自分の身体にキスをしている。自分の存在が無視されていて、多分だからこそ、そんな彼に身体だけをを与えている自分のみじめさに酔っているケイティが素晴らしい・・・(ここの“H”シーンは映画史上まれにみる素晴らしい“H”シーンだった)。 それからというもの、ニューヨークに来るたびに逢う生活がつづき、戦後二人は結婚してハリウッドに移った。大学時代からの友人であるJ.J(ブラッドフォード・ディルマン)がプロデュースし、ハッベルが脚本を書いた。生活は平和そのものだったが、ハリウッドにも赤狩のマッカーシズムが吹き荒れた。ケイティーは再び反体制活動に傾倒していく。正論を口にし、劣等感からくる攻撃的な人間といるのは息が詰まる。ハッベルも彼女といる時間のいきぐるしさに今はJ.Jの妻となった大学時代の元恋人のキャロル(ロイス・チャイルズ)と浮気をするようになる。ハッベルとケイティは離婚した。 50年代初め、ケイティーはニューヨークで原爆禁止の署名を集めているとき、偶然ハッベルを見かけた。ハッベルもケイティを認識した。おもわず駆け寄るケイティ。過ぎ去った愛の時が2人の胸に去来した。ハベルは脚本家として一応の成功を収めていた。2人はいたわるように抱き合い、またそれぞれの世界に還っていくのだった。 #
by ssm2438
| 2008-11-01 13:19
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![]() 主観重視で映画の感想を書いてます。ネタバレまったく考慮してません。☆の数はあくまで私個人の好みでかなり偏ってます。エンタメ系はポイント低いです。☆☆=普通の出来だと思ってください。 by ssm2438 リンク
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